夜を、徘徊。 公演情報 ものづくり計画「夜を、徘徊。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    演劇サイト・コリッチの招待券プレゼントに当たったので、知人と11日午後に大塚の萬劇場で上演された、ものづくり計画『夜を、徘徊。』公演を観てきた。この団体の公演を観るのは初めてである。

    題名から事前に劇の内容が予想しづらいのだが、8月のある日、高校時代の同級生の結婚式に余興を頼まれたOL・榊、専業主婦・小林、パチンコ屋店員・笹良、映画監督・神田の四人が故郷熱海の居酒屋に集まって一夜飲み明かす場面から始まる。そして舞台は高校を卒業からこの日までの回想が始まる。榊は女優業をやっていたが挫折してOLとなり、小林は子供を作らず優雅な夫婦生活を送っていたのが経済的に困るようになり、笹良は結婚せずパパ活をしていたが相手を好きになり振られ、神田は自分の思った映画が作れずプロデューサーや駆け出しアイドルに馬鹿にされながら映画を撮らなければならない現実に直面し・・・という過程を、途中に居酒屋のシーンを挟みながら断片的に次々と主人公を変えたシーンを繋いで構成なさた内容。まぁオムニバス的と言えば言えないこともない作りで、上演時間はおよそ110分。

    登場する四人の苦悩、そしてこの四人だけでなく居酒屋の従業員達までも加えた登場人物全員が間接的に繋がっている輪廻的な作りは演劇にありがちな手法で、見所は苦悩する四人の心情をどう演技で表すかという演技上の点と、各人のつながりをどう関係付けるかという脚本的な点。場面がくるくる変わるのだが、それを上手く処理できているかと言えば、まぁ破綻無く見せていたと思う。一つの舞台で居酒屋、会社、パチンコ店、家庭、撮影原画を表さなければならないので、大雑把な作りの大道具も苦心の結果であろうと許せるレベル。居酒屋のシーンは、やや堅苦しさのある四人の生き様描写に対する息抜きシーンとなっている点で、アルバイト従業員(実は姉妹)の店長に対する横柄な態度もこれまた許せるレベル。終わってみれば、110分の舞台、飽きること無く見入ることが出来たのは、さて役者の力なのか脚本・演出の巧さなのか不思議な印象。思うに、余興を頼まれた四人の女性達を演じた役者の演技が十分ではないにしても上手く働いた結果なのだろう。個人的には、OLを演じた田中佳奈子と映画監督を演じた丹由美子の演技が気に入った。作品タイトルは、劇中で居酒屋の店長がつぶやく台詞の一部分なのだが、四人の生き様を徘徊と言えるかどうかは、実は観る側である観客の人生経験の濃淡で感じ方に違いがあるだろう。

    この劇団、不思議と気になる。次回公演も観たくなった。

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    2018/10/17 18:15

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