月極セイラ ゴールデン★ベスト 公演情報 Dr.MaDBOY「月極セイラ ゴールデン★ベスト」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    鑑賞日2018/10/03 (水) 19:30

    最初の白黒イラストが入ったコピーのフライヤーが、かなりおどろおどろしくて、観ることを決意。

    舞台設定としては、ストレートな密室(この場合は月極セイラの別荘)・外部から遮断された空間(説明はないが、大雨による土砂崩れなどで外部との交流が途絶えた模様)。
    ここで、故人月極セイラについて、座談会開かれるために彼女の関係者が集められる。
    座談会は、月極セイラのベストアルバム発売を前にした回顧企画であり、いうなれば販売促進企画である。
    集まったのは、プロデューサー、マネージャー(女性)、作曲家、作詞家、そしてオブザーバー兼ホスト役であるコアなファン(彼女の支援者?よく立場が判らない)の5名に、座談会を開催した雑誌記者の計6名。

    関係者の間で、セイラを巡っていがみ合いが起こり、座談会は不成立に。
    その後、別荘は孤立して、1人1人のセイラとの関係が解き明かされていくといった話。
    この解き明かされていくプロセスが、この舞台の見どころで、その展開はとても独創的で興味深いものになっている。1人1人の夢とも幻想ともつかないセイラとの交歓シーンは、楽しくもあり、また残酷でもある。

    ただ、各人のセイラとの関係性や感情がよく判らない部分がある。
    例えば、作曲家とセイラのデビュー前の関係や、マネージャーのセイラへの嫉妬心の根源など。

    また、ホラーサスペンス(娯楽作でもあるが)ということを差し引いても、解明されない・観客の想像を喚起させない事象が多いのが残念。
    例えば、マネージャーはなぜ電話線を切るような暴挙に出たのか、また彼女がセイラに渡していた喉薬は本物だったのか、失踪した上野記者は生きていたのかなど。
    (以降、ネタバレへ)

    なお、舞台奥の壁面には、月極セイラのキャンペーンポスターが年代順に並べて貼られているという設定なのだが、それがないのが残念。せっかくベスト盤レコードのケースまで作ったのだから、ポスターが背景に並んでいれば、かなりこの作品の異様さが増幅されて、怪作になったのに。

    それと、チェスボクシングの件は、あまりに荒唐無稽すぎてバランスを崩している感じがする。

    ネタバレBOX

    ちょっと、この物語で起こったことを、自分なりに解釈してみたい。
    月極セイラの霊がいた(これが怨霊なのかは問わない)としないと、説明ができないので、一応ホラーとして捉えている。

    この物語は、4日間にわたるものだと思われる。
    登場人物がセイラと邂逅する時間帯は以下の通り。
    1日目:夜・作曲家がセイラと邂逅
    2日目:夜・ファンが邂逅
    3日目:朝・作詞家が邂逅
       夜・マネージャーが邂逅
    4日目:未明・プロデューサーが邂逅
    プロデューサー以外は、皆死んでしまうのだけれでも(ただし、彼も自室に戻ってからどうなったか判らないが)、死因は不明。

    彼らがセイラに会った時に、リビングからセイラの歌が聞こえてきたことは、他の者たちも証言しているので、音がしたことは間違いないのだろう。実際、音はしたのだ。

    まず、座談会後にマネージャーのみが、セイラの霊を見ている。
    これは、セイラに対しての悔恨あるいは罪悪感が、彼女にセイラを見させたのではないか。

    そして、作曲家、ファン、作詞家、マネージャーの順で、セイラに会うのだけれど、このセイラに会うという現象そのものが、この4人がレコードをかけたということに由来しているように思う。
    つまり、各シーンではセイラと会うドラマがあって、セイラの歌謡シーンにつながるのだけれど、セイラと会うシーンそのものがセイラの歌の中で起こっている幻想ではないだろうか。

    作曲家は酒で酩酊し、ファンは一日電話線を直すことに疲労困憊し、作詞家は死者の連鎖からセイラとの思い出に浸り、マネージャーはセイラを夢に見て動転し夢遊病者のように、自身の心に深く刻まれた曲を耳にするためにレコードをかけた。(冒頭、ファンがレコードをかけようとすると、各自聞きたくない曲や、聞きたい曲にかなり執着するシーンがある)

    さて、ではなぜ彼らは死んだのか?
    これは、霊に呼ばれたとしか言いようがないな。セイラは、自分に対して好悪に関わらず強い執着を持ってくれた人々を、呼んでしまっただけなのだと思う。
    だから、失踪した上野記者も、関係者はもちろん月極セイラ自身とも接点があったようなので、その因縁次第では、レコードのサンプルを借りてきたのち、自分とセイラを結び付けていた曲を聞いて、セイラに呼ばれたのかも。(彼のデスクにレコードが置かれていたということになっていますが、レコードを聞いてすぐに死ぬというわけでもなさそう)

    一方、元彼のプロデューサーは、彼女と会っても(彼はレコードをかけていない。なぜなら、セイラの歌のシーンがないから)、それは回想でしかない(彼は1人でいるわけではなく、後輩記者のインタビュー中に会っている。ただし、この場合、霊はいたわけで、霊と会話しているというのが正解かな)。

    そして彼ははっきりと「セイラのことは忘れよう」と言っている。それで、彼女は自分に執着しない彼を認めて、彼に別れを告げて去っていくのである。
    セイラの霊が去っていったのは、突如、圏外だった携帯電話が通じることでもわかる。

    月極セイラの「ゴールデン★ベスト」は、彼女に執着心を持つ者たちへの踏み絵みたいなものだったのではないかな。それを彼女は確かめに、別荘に戻ってきたと。

    セイラ役を5人に割り振った配役は、ダンスや進行も考えると妙案。セイラの多面性も演出できるし。

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    2018/10/04 09:34

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