ミカンの花が咲く頃に 公演情報 HOTSKY「ミカンの花が咲く頃に」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    西山水木演出という事で、一も二もなく劇場へ(なぜ、と問われたら何と答えよう...なんか凄そうだから?)。
    昨年上演された作・演出舞台(「月の姉妹」だったか)の「うた」の不思議なニュアンス、ケーキのトッピングではなくパン生地に練り込まれたように芝居と絡まる一見型破りなソレが、今回もその時が待ちきれないかのようにしばしば出て来る。
    地方を描いた芝居。台詞を追っているとつい西山水木の作、と思ってしまっている程何か通じるものがある。作者釘本光という名をおぼろに思い出しながら、要所で飛び出す鋭く抉るような台詞、優しく包むような台詞に胸がざわざわとした。予想を超える距離にまで観客を連れて行く言葉が、時を選ばず飛び出てくる。
    狭いアトリエファンファーレに組まれた装置は「内」「外」の区別も付きにくいヘンテコな形で、人の出ハケも「それをやるか」と突っ込みたくなる独特な処理だが、リアル一辺倒でない劇世界には不思議と合うところがあった。
    ふだん見過ごす隙き間や凹んだ場所にある良きもの、鉱脈が、人間とその関係の中にあるのを作者は見せる、見る角度を教える。それを媒介するのが例えばミカン、畑、自然。自然は人間を照らし、頬を赤く染める。
    人が放つ煌めきが、舞台を彩っていた。

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    2018/10/04 04:44

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