第30回池袋演劇祭参加作品『ギンノベースボール』 公演情報 ラビット番長「第30回池袋演劇祭参加作品『ギンノベースボール』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    古希野球(生き甲斐)、介護、将棋という得意分野を盛り込んだスポ根ならぬスポ魂物語。同時に人生に戦争の傷痕を残す、その意味では反戦劇の一面も…。喜怒哀楽、多くの人生模様を観せる感動作である。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    セットは、中央手前にマウンドであり居酒屋・若竹の店内座敷になる菱形台座。左右に階段状のベンチが設え、上手側が飲食店・若竹の厨房等、下手側が球場スタンドや街路に見立てる。後景にはスコアボードを設え、物語の情景にピッタリの舞台美術である。

    梗概…戦前か戦中に甲子園で活躍した球児たちが古希を迎えてもまだ野球を続けている。それが生き甲斐にもなっている。一方、寄る年波には勝てず持病、多種の常備薬を飲むシーンもリアル。また妻が認知症のようになり、その面倒を見ることで練習にも参加できないという高齢者介護(老・老介護)の実情も夫婦愛としてしっとりと描く。時代設定は平成10年前後であろうか?

    どちらかと言えば湿っぽくなりがちな老後(古希)や介護のテーマをカラッとして日常の暮らし中に溶け込ませ、それが当たり前のように坦々と展開していく。この芝居の隠れテーマとして”地域”という街が見えてくる。学生の頃から、いや幼少の時から一緒の仲間と馴染みの居酒屋、その地域の中で支え合いながら生きている姿がしっかり浮かび上がる。都会では廃れた思われがちな隣近所の付き合い、高齢化社会が進むにつれ、古き良き時代の付き合い方が戻ってくれば良いが…。

    最後に物語のスケールに対し舞台スペースが少し窮屈に見えたのが勿体ないところ。初演はシアターグリーン BOX in BOX THEATERで上演されており、その時に比べるとであるが…。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/09/24 16:29

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