満足度★★★
とても素敵な話です。みんな心根の優しい登場人物ばかりで、片寄遭いながら生きている話です。芝居もしっかりしている方が殆ど、安心して観ていられる作品だと思います。なのに
あんまり良い人ばかり、優しさばかりで、少し物足りないのです。
大人のファンタジー、それに関わらず、お伽噺には隠れた毒がないとと思うのです。特にこの場合、場所も場所ですから、もっと切実にその場に生きる者の辛さや悲しみがあってこそ
ファンタジー的な要素が引き立ってくるのではないかと、思ってしまうのです。綺麗綺麗の話に感動はないというか・・・・・やっぱりきつい現実や悲しみ、そういう毒が隠れていてこそ、救いが欲しくて、報いがあるわけで・・・・・。そこに流れる空気に、男女の場にある据えたような匂いも無く、娼婦の悲劇もなく、台詞では“らしき台詞”はありますが、それを実感させるまでには至らない気がします。芸能界も水商売も、その世界の匂いというか色というか、そういうものが染みつくもので(そういうものが女優陣に付くのは良いことではないのだけど)、この世界のそれが出せなければ、他の設定でも良かったじゃないかと思ったのでした。