明日ー1945年8月8日・長崎ー(2018年@シアターKASSAI ) 公演情報 演劇企画イロトリドリノハナ「明日ー1945年8月8日・長崎ー(2018年@シアターKASSAI )」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    初日観劇。
    戦時中の坦々とした生活、そして結婚式という慶事を絡めた反戦劇。しかし、戦争という最悪な不条理が見えてこない。
    自分は戦争体験がないだけに観念的な感想かもしれないが、戦争の悲惨さが伝わらない。原爆投下されたであろうことを印象付ける幕切れであり、その後の悲惨さは事実として知っている。それだけに演劇で用いられる観客に問いかけるという効果・意味合いは少ないと思う。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    戦時中にも関わらず坦々とした日々が綴られる。現代、自分たちは翌日に原爆が投下されたことを知っているが、当時の人々は日々の生活でそんなことが起きようとは誰も思っていない。原作(小説)では当時の状況を書いており、読者の想像力を喚起する。しかし、舞台という直接的に訴える視覚という特長を生かして原爆投下へ刻一刻と迫っている恐ろしさが伝わらないのが残念。戦時中の理不尽さを描いた場面(弱みに付け込み物資を強請る等)、空襲に怯える場面などもあるが、戦争そのものの最大の不条理が見えてこない。最後に生まれたばかり赤ん坊の”生と死”が戦争の惨さ無常さを表しているだけに…。

    セットは基本的には客席寄りの空間、その奥に押入程度の高さの空間、その下に納戸を設え、上手側に床の間、掛け軸等が置かれ、下手側は家の玄関。客席寄りの空間は冒頭は街中を思わせるが基本的に住居居間として物語が進展する。シンプルな造作であるが当時の長崎市民の一般的な暮らしぶりは十分伝わる。

    梗概…語られるのは1945年8月8日の長崎、原爆が投下される前日の風景。街角で遊ぶ子どもたち、結婚式を挙げる夫婦、出産を控えた妊婦等、戦時中とはいえ様々な思いや悩みが描かれる。勿論、彼・彼女たちが明日に起こる出来事を知るはずもなく、今日の延長で明日が来ると思っている。ラストは出産と閃光を思わせる真っ赤な照明で幕を閉じる。人間の生死が対比表現され、生まれてすぐに凄惨な現実が…。この描写によって原爆が投下され、全てが奪われたことを連想させる。

    原作者の当時を生きた観点と今を生きている観点の違い、さらに小説という読者の想像力を引き出させるものと、演劇という五感、それも視覚・聴覚という直接訴える手段の違いを生かし観客(自分)の心魂を揺さぶってほしかった。原作を読んでいるだけにあまりにも坦々、清々しい描写、それに物足りなさを感じてしまう。
    一方演出について、ラストの照明はもちろん、雨戸の開閉に応じて照度を変える、時を刻む時計の音など細かく丁寧なところはさすがに巧い。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/09/20 17:09

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  • みかん様

    明けましておめでとうございます。
    コメントありがとうございます。少し辛口の「観てきた!」になりましたが、率直に感じたことを書かせていただきました。人によって「明日」の捉え方は違うと思いますので、あくまで参考になれば幸いです。
    また、公演は真摯に、そして丁寧な制作であることは十分伝わります。
    今後 益々のご活躍、期待しております。
    本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

    2019/01/10 00:09

    タッキー様、明けましておめでとうございます。
    「明日」をご観劇いただき、ありがとうございました。
    この度は、お忙しいところ、観てきたコメントをいただき、心から感謝申し上げます。
    今後の参考にさせていただきます。
    これからも精進してまいりますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

    2019/01/09 22:39

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