満足度★★★★★
合宿所の内部(狭い和室)と外(喫煙所のある庭っぽい四角とそれを取り巻く通路、通路に沿う壁にノブ付の扉)。具体性のある装置がまず目に快く入って来る。人物は高校演劇部部員4名と顧問。静かな演劇範疇の何気に高校生な会話から入り、ある特殊な状況が徐々に、うっすら見えてくる。合宿所での「現在」場面に時折、学校での「過去」が挟まれ、過去から現在に至る関係図が浮かび上る式である。ある一件に直接間接に濃密に関わっていた5名、登場しない重要「実在」人物(「現在」の中心人物と言ってよい)、その彼との関係が取り沙汰された登場しない死者(「過去~現在」の中心人物と言ってよい=女性)。言及されるだけの人物がぼやけて最初分かりづらいが、最後にはしっかりパズルは出来上がる。完成された絵はゴヤの絵の如くか、はたまた・・。現代の人間関係の病巣に踏み入り、誇張した物語にも思えたが、そう思うより前、演者らの細を穿つ演技と台詞とが相まって、演劇部という「閉じた世界」の歪な様相が立ち上がっている。
新しい才能を怖々目の当たりにする、この悦びは替え難い。