白雪姫という女 公演情報 ライオン・パーマ「白雪姫という女」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    浅いようで深い、深いようで浅い(?)ライパらしさ全開の作品。
    白雪姫が王子の愛によって生き返るという美談に隠された驚愕の真実。
    客演の丹羽隆博さんが、濃い悪役を魅力的な声と台詞回しで演じている。
    お妃さまの心理がリアルで面白い。
    終わってみれば、何だかめちゃくちゃ素敵なラブストーリーじゃないの!

    ネタバレBOX

    毒りんごを食べさせられた白雪姫(絹川麗)が、
    王子(石毛セブン)のキスによって生き返ってから20年、
    二人は小さな村の鏡工場で働きながらひっそりと暮らしていた。
    ところが、あのお妃(比嘉建子)にもう一度嫉妬の炎を燃え上がらせ
    再び毒りんごを買いに来るよう画策する男たちが居た。
    ミスタ―小助川(丹羽隆博)とりんご農園主バトラー(加藤岳仁)である。
    今回毒りんごを食べさせられるのは誰か、
    そして20年間誰も知らなかった秘密とは・・・!?

    冒頭の“意味深・実はナンセンス”な会話で
    悪者小助川を演じる丹羽さんの声に魅了された。
    鏡男(瀬沼敦)の佇まいも良い。

    この作品一番のキモは、“20年間秘密を抱えて来た王子”ではないか。
    白雪姫を純粋な愛情で生き返らせたのではなく、
    計画的に毒消しを注入しただけだったという、その事実は王子を長く苛んできた。
    鏡工場で働く王子の仕事は「目視」、完成した鏡に自分を映して曇りや傷を見つけること。
    それはそのまま自分自身の弱さと向き合うことだった。
    その辛さに耐えられず多くの者が「目視」を続けることが出来なかった。
    王子だけが、許せない自分自身から逃げずに向き合い続けた。

    真実を知った白雪姫が、一度はショックを受けたものの
    「一緒にいたこの20年間こそが愛情の証」と気づいて
    刑務所に送られた王子を待ち続ける。
    刑期を終えて出て来た王子は白髪交じり、迎える白雪姫の髪も真っ白。
    この愛が軸にあるから、周囲がおちゃらけても心に残るものがある。

    それともう一つ、悪役の妃を支える健気なマテス(草野智之)の純な気持ちが
    人間の多面性を描いて深みがあった。
    ライオンパーマが大人の恋愛を描くとこうなるのか、と新たな発見!


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    2018/08/24 01:13

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