満足度★★★★★
華やかなテレビ、映画等の芸能界と隣接する2.5次元舞台制作内部にスポットを当てた作品。
小劇場演出家からプロデューサーに抜擢された青年のトンデモ奮闘記みたいな出だしから突然、えっそんな言い方しちゃっていいの?!・・・最近の2.5次元舞台に向けての辛辣な表現が飛び出し「ど~もこの舞台は只者ではないぞ」という予感が。
案の定、本作で描かれるショービジネスの世界は、メーカー脳の私にとって、希望、欲望、侮辱、打算、色んな思考が公然と渦巻いて、もう魔性の世界としか言いようがない。
段々何が正しくて何が悪なのかという単純な事すら混沌としてくるのですが、同時に非常に奥深く吸引力のある世界観に魅了されてしまいます。
遊び心ある攻めの演出で業界内部、というかそこで生きる人々の内部に踏み込んだ描写力が、ガツンと胸に響きまくり、初プロデューサー青年をはじめとする多くの舞台人、そして崖っぷち女優の生き様にグッときます。
こんな清濁合わせ持った業界だからこそ、時にはとんでもない名作を生み出し、時には全て裏目の失敗作を輩出する場合もあり得る事なのかと思わず納得。
今回のテーマである2.5次元舞台はこちらの新宿村LIVEでも多数公演されており、実際今回の観客にはファンの方も大勢いらしていたのではないかと思うのですが、本作を観てどんな感想を持たれたのかを想像すると、何だかザワザワしてきます。
恐らくキラキラした2.5の世界観に憧れる中高生ファンにとっては大人の事情がスーパー生々しくエグイ内容。
終演後、呆然と席を立つ姿が浮かんできます。
しかし大人の観客となると、こうした闇の匂いも薄々感じ取っていた部分もあるのではないかと。
闇があって、より輝く光の世界。
そりゃ舞台に魔物が棲むのも当然と思えてきます。