満足度★★★★
大村未童氏作品の戯曲を1時間45分にまとめたものである。
3つのストーリーを「輪廻(りんね)」がつないでいるように感じたが、輪廻という考え方を信じようが信じまいが、観る上で差し支えない。
幕末、太平洋戦争、そして現在という時間と空間が一つにつながる。
歴史を学べば有名人の名や年代等が目に入ってくる。
でも有名になったのは結果であって、歴史に名を残したくて行動したのではない。しかもたいがいそのような人物は死後評価されがちだ。
歴史上美談で彩られた人物が純潔であることはめったにないだろう。誰しも精神に泥臭いものは持っているわけで。
名を残していない、はるかに多くの人々がそれぞれの人生を生きてきた。
若い年代では男女を比較すれば女のほうが大人で現実主義かもしれない。
でもそれは若い男が安っぽいのではない。無鉄砲で青臭く勢いがあることに価値がある。そんなに計算高くなくてもいい、勢い任せでいいのだ。勢いで動く中で様々な発見がある。
そしてそういう若者たちの行動を人生の先輩たちも寛容に見守るべきだ。行動の結果がどうあれ現代の大人たちは手を差しのべているだろうか。
情熱を笑うな。
若者の美しさを履き違えて考えてないか。
重すぎず、軽すぎない作品。