分別盛りたいっ! 公演情報 ひとりぼっちのみんな「分別盛りたいっ!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    自分の妄想、その脳内を三面鏡に映った姿を見るような形で展開していく。タイトル「分別盛り」は、当日パンフによればカミーユ・クローデルの作品に刺激を受けたことが記されている。本公演は、自問自答するような騒めきが多少煩わしく感じられるが、それでも描きたい内容はしっかり伝わる。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    セットは、中央に横長テーブルのようなもの。上手側にピアノ、下手側に扉がありその壁は白色で映写幕の代用にもなっている。

    物語は、自分自身を多角的に捉えるための三面鏡のような展開に思える。もちろん第1は現在の自分自身の心との葛藤、第2は子供時代に形成された心、第3は本人とは関係ない第3者という客観的視点で見る。この3つの視点を本人の職業-作家としての行き詰まりの苦悩を本筋にし、子供時代に受けた心の痛みを脇筋として絡めて人物像を形成している。この2つが交錯し本人の妄想の世界を築いている。主要メンバーはパジャマ姿であることから一夜の出来事としているのだろうか。客観的な場面は、女子会のようなノリで一見主人公との関係性が見えてこない。一般的な情景、人間(ここでは女性を強調)であれば悩み苦しむ”恋”という普遍的なテーマを与え、自己が抱える色々な問題・課題の断面を面白可笑しく見せている。その会話を横長テーブルを炬燵に見立て寛いで観せるなど巧い。

    物語としては重層的な見せ方を意識しており、その点は成功していると思う。しかし同時進行するような2分割の場面構成で、役者の演技(声量)が同じ。そのためどちらが本筋で脇筋なのか分らなくなり騒がしいだけの印象を与えたのが残念。カミーユの「分別盛り」は内なる叫びを表現しているとすれば、本公演は素直に心の葛藤を叫んで表現しているようだ。その対比のような演出は上手いが…。

    一方、音楽は生ライブ(アコーデオン、ピアノ、ドラムなど多種の楽器)、同時にダンスパフォーマンスを観せることで楽しませる工夫は良かった。粗削りのような公演であるが、逆にこじんまりとした理屈の枠に収まらない自由な発想と構成は面白く、次回公演が楽しみである。

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    2018/07/17 17:01

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