夏の夜の夢 公演情報 mild×mild「夏の夜の夢」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    戯曲「夏の夜の夢」は古今東西、数多く上演されている。表現は相応しくないかもしれないが、この手垢のついたような芝居をどう観(魅)せるか。本公演は、原作を分かりやすく、熱量(パワー)を持って観せているところが魅力である。
    一方、少し気になるところも…。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    まず気になるところは、役者が役柄を超えて素で楽しんでしまっているように感じた。もちろん、楽しんで演じることは重要だと思うが、脚本(訳本)に設定された役柄、人物像をしっかり立ち上げ、その人物が持つ特性に面白さがある。その上で人物にどう役者としての経験なり人柄を反映させるか。その意味で役柄を作り上げる前の役者の顔が出てしまっている俳優が何人かいたのが残念であった。

    セットは、周りを工事現場で見かける黄黒色のポールのようなものを吊るし、中央は素舞台。基本的に原作同様の展開であり斬新さは感じられなかった。演出というべきか?表面的な見せ方として、登場人物を滑車を利用し吊り上げるなどのシーンがあったが、このままでは面白みがない。
    物語は、森に足を踏み入れた貴族や職人、森に住む妖精たちが登場する。人間の男女は結婚に関する問題を抱えており、妖精パックの悪戯によって…。

    舞台技術としての照明や音響は良かった。特に冒頭の缶、モップ等を利用したラップは聴かせるもの。シェイクスピアの原作の持つ面白さは、訳本である以上、色々な表現ができる。この物語の持つ面白さを先人の力を借用しつつ独自性を示す、という柔軟な発想がほしい。少なくとも滑車利用は妖精が飛び回るという浮遊動作へ繋げ、同時に地上にいる人間の地歩が感じられる工夫が必要だと思う。
    一方、森の中という設定は、照明による陰影。幻想的で浮遊感ある演出である。その妖精が森という神秘的な場所にいるという感覚がある。それだけに演出に見合った演技力の物足りなさが勿体なかった。

    次回公演を楽しみにしております。

    0

    2018/07/13 17:21

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大