ホテル・ミラクル6 公演情報 feblaboプロデュース「ホテル・ミラクル6」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    4編のオムニバス、新宿歌舞伎町にあるホテル・ミラクルで繰り広げられる会話劇。もちろん多少隠微な感じはするが、全編を通じて「男・女」というよりは「人・間」の本音、心情が奇妙な感覚を以てして描かれている。
    (上演時間2時間10分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    セットは新宿歌舞伎町のラブホテルを想像させる。客席はL字型で舞台を半囲いし、ダブルベット、置台、革ソファー、少し離れた所に丸テーブルと椅子が置かれている。入口近くに浴室。ホテルという密室空間を覗き込んでいるという感覚になる。

    劇は①娯楽であり②時代を映す鏡、その社会的・世相的な側面があると思うが、その両面が楽しめる作品である。場所はともかく女子会の喋りなどはリアルであり、女性ならではの特徴と同時に人間的な深みも感じさせる内容だ。一方、パラドックスの世界、現実には起こり得ないような世界を描き、社会的問題を揶揄している。その意味で演劇の醍醐味をしっかり味あわせてくれた。

    物語の概要は次のとおり。
    ①「ビッチの品格」(脚本:岩井美菜子(劇団人間嫌い))
    ありそうな女子大生のお喋り。もちろん話題は恋愛だが、男性との付き合い方の色々が性格や考え方によって違うという典型的な展開。自己の経験や考え方の違いを許容できるか否か。その濃密な会話に引き込まれる。
    ②「ホテル・リトル・ミラクル」(脚本:小西耕一(Straw&Berry))
    ホテル営業日最後の日、部屋の清掃をしようと布団をめくると、そこには見たことがあるような無いような女が横たわっている。成仏できない女、その理由を聞く一方、若い女性の面倒を見るという虚実の間を右往左往する男の滑稽さ。それが現実の世界(社会)でも巻き込まれる悲喜劇に重ね合わせることができる。
    ③「カッコ悪いオトコ(悪)」(脚本:島田真吾(あんかけフラミンゴ) )
    見栄の張り合いなのか、冗談笑いに包んだ本心なのか分かり難い内容。この編だけ多くの男と1人の女で描く意識の違いが何となく分かる。その意味で男と女という性が感じられる。
    ④「最後の奇蹟」(脚本:フジタ タイセイ(劇団肋骨蜜柑同好会))
    地球最後(消失?)の時を冷静なのかシニカルなのか判然としないが、いずれにしてもジタバタしない男女の知的にして痴的な会話が面白い。ホテルという極めて緊密性のある空間で、2人以外の世界・状況を描き出すという演出が上手い。ある意味、メッセージ性ある内容かもしれない。

    それぞれの作者が、ホテル・ミラクルの一室で紡がれるであろう人間の”物語”をそれぞれの感性で描く。その広角的な取り組みは面白かった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/07/10 17:38

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