満足度★★★★
この国には「縁側」なる文化がある。
物理的に述べよう。「内」と「外」との「中間」だ。「内」のままに生活しつつ、同時に、草木や野鳥類など、「外」を取り入れる機能を有している。
劇場が そうだった。
モクモクとエナジーの充満する演劇的「内」において、たえまなく路上を行き交う「外」の音、それは、自動車の排ガスである。
劇場近くで 赤ちゃんをあやしていたのは もんぺ姿の外国人だったナ。あぁ、偉大にしてみずぼらしき姿。そして、集合団地では、毎日毎日ガキを叱りつける母親の怒声が響いている、「ハイツ」という近代的な名を戴いて。
前座に費やした本篇10分は その延長線に映ったのである。「縁側」で、男のおぶっているのは生気のかげりつつある白装束の女性。あんな「外」だったから怪談にしか映らない。
恋人か、それとも、師匠と弟子の関係なのか。
決定づけられた物語を 2人で辿るように、心が通じ合う。
端々に昭和の公務員臭。強烈だろう過去/心情と反比例する かすかな動きに、みいってしまう。
いやぁ、音響とかワンオペで切り盛りする劇団員も たいへんですネ。