野外劇 新譚  糸地獄 公演情報 吉野翼企画「野外劇 新譚 糸地獄」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    大変、面白く見ることができた。初日観劇。
    野外円形劇場の底、舞台部分にベンチを並べ、客席となっている。舞台は階段状の客席部分。7時まだ日が沈んで間もないので後方の空が明るい。黒衣の踊り、女たちの客引きの声、期待が高まる。

    ネタバレBOX

    女の生理というか幻想というかが、いくつもの場面の中でくりかえされ、母親殺しを通して、自分を見つけ出すとともに、またその子へと受け継がれていく、性。糸を紡ぎ、糸を切る、この象徴的な仕草に込められたものは、重く逃れ難い印象。男の私にもこれでもかと伝わってくる。
    芝居もだいぶ進むと、「月」というセリフ、見上げる視線の先に、西戸山の高層マンションと並んで中天に、半月が煌々とかかっていた。
    「女は子宮で考える」という古いフレーズを現前させたかのような感覚に捕らわれた。糸屋の女たちは熟女、訪れる繭は糸を紡ぎだそうという幼い女。同じ生なりの衣装であったが、身体も声もよくその差違を表現していたと思う。男たちは、女たちの幻想の中に生きられない。糸をあやつってはいても、能の狂言方のように外の世界にいるかのようだ。女は白塗りなのに、男はそうでなく、目のまわりに隈をとっているのみ。声もまた現実世界の野太さのようである。
    夜も更けてくると、空気の加減か、山手線の電車音が通奏低音のように響いているのに気づく。
    繭役たぶんは鈴木千晴、囲碁アイドル。

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    2018/06/24 00:06

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