満足度★
フェティシズムを共有しないものには見ているのが辛い舞台だった。「おとうさま」のもと、ともに暮らす「姉妹たち」。ある種の新興宗教を思わせる設定で、どうやら性的虐待も行なわれていたことが匂わされる。「おとうさま」はすでに殺されていて舞台上には登場しないのだが、その代わりのようにして舞台上には作・演出・演奏の僻みひなたがいる。多くのセリフが音楽に乗せる形で発せられるこの作品において、舞台上で音楽を演奏する僻みの持つ「権力」は通常の演劇作品における作・演出のそれよりもさらに絶対的で、それは「おとうさま」の遺した呪いのようでもある。そこに批評的距離は感じられず、意識してやっているのであれば申し訳ないがただただ気持ち悪い。若い世代がこのような女性の描き方をよしとすることには大きな危機感を覚える。