時代絵巻AsH 其ノ拾弐『白煉〜びゃくれん〜』 公演情報 時代絵巻 AsH「時代絵巻AsH 其ノ拾弐『白煉〜びゃくれん〜』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    虚実綯い交ぜの保元の乱・平治の乱を背景に、源氏と平氏の若き棟梁が武士の世を築こうと模索する物語。日本史の史実を物語として分かり易く描いているが、さらに当日パンフは丁寧な解説(家系図や相関図等)を加え楽しませてくれる。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    セットは源義朝の屋敷であり、朝廷を思わせる造作。基本的には縁側または廊下と庭のような場所の高低差を利用し躍動感を表す作りになっている。横に展開させた作りは、舞台と客席の間に大きなスペースを空け殺陣等の動きをダイナミックに観せようと工夫している。

    平安時代末期、朝廷(政治)における権力闘争に武士という集まりが巻き込まれ、いや積極的に関与することで武家社会の足掛かりにする。その姿を源義朝と平清盛に担わせている。この2人が保元の乱で協力し、平治の乱(公演では誤解による謀反のような)では敵対していく。時の権力争い(天皇家と摂関家)を背景に、時代に翻弄される漢(おとこ)を情感豊かに描く。争いは都で起き、舞台では炎が上がる戦禍として描いているが、そこに住む人々の暮らしは蔑ろであった。もちろん、庶民は登場しないが。

    物語は先に記した権力抗争とそれに巻き込まれた武士という、特別な世界観である。時代絵巻AsHは、伝わらない”史実”の隙間に男たちの”物語”を想像させる。その観せ方が実に上手い。政治は市井の暮らしに影響を与えるが、その政治主導権争いは多くの人々の暮らしに関係ないところで行われる、という現代にも通じるもの。その批判的な視点と”物語”としての面白さ、そのバランス感覚が優れている。本公演の背景は「貴族の世」から「武士の時代」への過渡期であり、それゆえ”乱”という見せ場はあるが、それぞれの視点で描いていることから”史実”としての分かり難さはあった。

    卑小かもしれないが、源義朝(黒崎翔晴サン)と平清盛(森ひであきサン)の衣装が気になった。例えば義朝が派手(桃色)な模様の上衣を羽織る、清盛が着流しのような着物姿に違和感を覚えた。場所設定が判然としないところもあるが、例えば大内裏のような場所では相応しくないような気がするのだが…。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2018/06/12 19:07

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