鏡の星 公演情報 劇団あおきりみかん「鏡の星」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     今回のあおきりみかんは、初の外部演出に流山児事務所の小林 七緒さんが関わっている。彼女は、作家の持ち味を上手に作品に引き出すと同時に、その鋭さも俎上にキチンと載せる才能のある演出家であるから、長らく中京地区の女王の名を恣にしてきた鹿目 由紀さんと組んだらどんな化学反応を起こすかと愉しみにしていたのだが、流石に才媛お二人。互いの良さを引き出しながら良い舞台に仕上げてくれている。殊に、鹿目さんは、文化庁の派遣でイギリスへ行き、新たな体験をしてきたとあって拝見する側としては、何を彼女がイギリスで獲得して来たのかについて大きな関心を抱いていたのだが、この期待は裏切られなかった。今迄は、社会状況そのものには、余り触れずに様々な喩や象徴、例え噺で作品を成立させてきた彼女が、初めて世界や世界情勢と向き合い、社会生活を営む人間をその社会を構成する掛け替えのない個々人として描いているのだ。社会のディーテイルは、各々の性格として身体化されているので、話の大きなストリームの中で、実に自然に状況を体現してゆくことができており、その上適度な擽りが入るので猶更自然に観客に世の中の不条理を訴え掛けてくるのだ。
     基本的な舞台美術は極めてシンプルで、板の一番奥に平台を置いて10㎝ほど高くし、その中央に高さ2m。巾1mほどの枠を設え、これを中心として手前に来るほど互いの間隔を広く取って,中、手前とシンメトリックに左右1つずつ枠が置かれている。
     場面、場面で必要な場合は、箱馬や、模擬カウンターなどを用いながら、地球と鏡の星、それぞれの運命を掛けた物語が展開してゆく。
     内容については、東京公演の後、九州公演も控えているので、観てのお楽しみということにしておく。更に詳しいことは、全日程終了後に追記するが、今迄とは一風異なったあおきりみかんを楽しむことができる。(華5つ☆)

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    2018/06/09 01:22

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