連鎖の教室 公演情報 甲斐ファクトリー「連鎖の教室」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    社会問題になっている「いじめ」がテーマ。分かりやすい展開、内容的にはニュース等で知らされる典型的な組織(学校)対応、家庭環境などが描かれ興味深く観劇させてもらった。物語の展開は「ソロモンの偽証」(宮部みゆき著)を連想させるところもある。
    (上演時間1時間45分)

    ネタバレBOX

    舞台は高校の教室内、スチール机・椅子が並び下手側に黒板。正面に出入り扉と窓ガラスというシンプルな造作であるが十分雰囲気は伝わる。

    梗概…何気なく慕っている教師に友達の行いを喋ったところ、それが原因で友達が教師から注意された。そのことを恨んだ友達が いじめを始め出した。それを苦にして登校拒否になり、果てには自殺してしまう。今度は いじめをしていた生徒が、いじめに加担していないという主張する生徒に いじめ出される。生徒の中に いじめを見て見ぬふりをしたのは いじめをしていたのと同罪であると言い出す。そしてその生徒にも いじめが…。
    憎しみも悲しみも、鎖のようにつながっている連鎖の教室。救われたのはその教室に天使がいたこと。

    関係悪化や不安定な状況になると多数の側に組するほうが安全・安心という傾向になる。その立場から排他的な動き、他者への不寛容な行動をとるという典型的な展開であった。現実の”いじめ”に関するニュース等では、学校の体面・隠蔽、家庭環境の悪影響が言われるが、本公演でもその内容を指摘している。
    さらに「いじめ」=世界各地の紛争等に関連付けて負の連鎖を断ち切ることの重要性を説いている。しかし、学校でのいじめと世界で起きている紛争を同一に並べて語ることが出来るのだろうか。物語では天使の自己犠牲のような形で不幸な連鎖を断ち切ったようだが…。それを紛争等にどう適用できるのだろうか。そもそも個人の犠牲で解決することがどうなのか疑問である。主体的にいじめに向き合うという姿勢ではない。

    天使の犠牲でいじめが無くなったようだが、その平穏な日々も長く続かないような、そんな暗示もある。いじめをしていた生徒が改心し、その背中に小さな天使の羽根が…。人の悪意ある心、その芽がまた見えてくるという怖さ。
    演技は熱演で物語の世界観を形成していた。それゆえテーマ(少し強引なところもある)を鮮明に体現しており観応えがあった。また校長のいじめを隠蔽するシーンは、多少コミカルにして現実と距離を置くことで、より不誠実さが鮮明になるという巧みさに感心した。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/06/05 17:52

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