大正浪漫に踊る~天空を翔るハイカラ姫たち~ 公演情報 劇団Brownie「大正浪漫に踊る~天空を翔るハイカラ姫たち~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★


    テーマは現代にも通じる"女性への応援劇"といったところ。「大正浪漫を生きた実在の人物と史実、フィクションを織り交ぜた大正浪漫喜劇」という謳い文句で繰り広げられる物語は分かり易く、そして楽しめる内容になっている。設定等に矛盾するようなところもあるが、日本史学習をする訳ではない。公演は上演後、近くに座っていた小学生らしき子が「あー面白かった!」という言葉に端的に表されていると思う。
    (小)演劇界は商業的に厳しいということを聞くが、このような子供も大人も楽しめる公演によって活況になればと思う。

    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    この劇場の特徴である二方向の客席ではなく、客席と演奏者席(キーボード、ヴァイオリン)にしている。セットは段差を設けただけで、基本的には素舞台である。衣装や髪型は大正時代を思わせるもので、特に女学生は襠高袴、束髪(そくはつ)ではないがリボンを付け雰囲気を出している。

    梗概…舞台は下田歌子が校長を務める「広尾女学園」。女学生達は、恋・勉学・芸術など自由な空気の大正浪漫を謳歌していた。そんな中、3人の大柄な転校生がやってきたことから、平和な学園が一変する。ある日、在校生の江良嘉代の代わりに平塚はる(後の「らいてう」)が誘拐される。次々に起こる事件に仲間が巻き込まれだしたことから、大正のハイカラ姫達が立ち上がるが…。
    主人公の平塚はる(百瀬歌音サン)は無気力、無関心、無感動のように学園生活を送っていたが事件を通じて人間的な成長をしていく過程が描かれる。これは歴史的な人物を介して女性だけではなく、切っ掛けがあれば男女問わず開眼・成長することを示唆しているようだ。

    物語は実在の人物や史実を織り交ぜた虚実綯い交ぜのフィクション。年代や登場人物の相関関係は辻褄が合わないが、それよりも現代に通じるテーマ”女性の社会進出”が鮮明に描かれている。登場する女性は、板垣退助夫人の絹子、下田歌子(現在の某女学園=劇中では「広尾女学園」の創始者)、鳳(与謝野)晶子、江良嘉代(加代)、市川房枝(演じたのは小学5年生と紹介されている)等、自分でも名前は知っている人達である。大正時代を背景にして、女性の活躍を暗示させる内容。しかし100年ほど経った現代においても女性の社会進出等が声高に叫ばれる。例えば、世界経済フォーラムによるジェンダー不平等状況を分析した「世界ジェンダー・ギャップ報告書」では、ここ数年日本は100位(対象国140国強)あたりである。

    何人かがいくつかのシーンで言い直したり、噛んだりしていたのが気になり勿体無かった。また、役者間の演技力に差があることが分かってしまうのが残念であった。それでも先に記した子供も大人も楽しめる公演は好かった。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2018/06/05 17:51

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