翼の卵 公演情報 劇団桟敷童子「翼の卵」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    好きな劇団の一つである劇団桟敷童子の『翼の卵』を2日午後に観てきた。知人の役者・もりちえが出ている上に、今回は客演として原田大二郎も出ると言うことで、初日を迎える前で全公演チケット完売という人気であった。

    ネタバレBOX

    舞台は九州のある地方。炭鉱が栄えていたときは活気のあった街も、炭鉱が閉山すると活気がなくなる。農園を経営していた篠塚一家も例外ではなく、今は母屋を解体業者・浦辺組の宿泊所として貸し出し、母で農場主の登紀子(鈴木めぐみ)、次男・史彦(深津紀暁)、三男・繁彦(松本亮)は敷地内のバラック住まい。そこに、10年前に家を出た長男・毅彦(坂口候一)が連れ子・恵子(大手忍)のいる頼子(板垣桃子)と結婚したものの借金に追われ逃げ帰ってきての大騒動。妻に暴力を振るう毅彦。彼に仕事をさせる浦辺組社長・源之助(鈴木歩己)、頼子に仕事の世話をする毅彦の幼なじみで今は西寺興業の社長・薫(稲葉能敬)と、毅彦一家を再生させようとみんなが努めるが、毅彦

    がいっこうに改心しない。登紀子も頼子にまむし狩りを手伝わせてこき使う日々。その浦部組の従業員の中に、死に別れたと思っていた頼子の父親で元殺人犯・常藤耕作(原田大二郎)がいたことが、物語の核となっていく。耕作と仲良くなる頼子の連れ子・恵子(実は耕作の孫)。やがて、耕作が父であることが頼子にも分かる。しかし、母親への思いや元殺人犯という事実が親子の間に感情的な壁を作る。そんな矢先、恵子がまむしに噛まれ、命を落とす。その悲劇がきっかけとなって、耕作と頼子の間に和解の糸口が出来ていく・・・・。




    いやぁ、悲劇である。耕作と恵子の関係に一筋の光が差し込んではいるが、全体的には悲劇である。偶然と必然が交錯してわき起こった悲劇である。実に悲しいが、ラストシーンで涙が出る以外、そのすさまじい悲劇に涙も出ない。

    そんなすさまじい舞台を支えた中心は、原田大二郎と大手忍。そしてその脇を固めた板垣桃子と鈴木めぐみの4人であった。他の役者たちも重要な役どころをこなしていたが、上記4人の好演がなければこの舞台は成り立たない。そうした役者を揃えられたのが、桟敷童子の凄さなのだろう。

    また、恒例でもあるラストシーンでの大道具(セット)の破壊的な大転換も観る者の心を打った。

    東憲司、恐るべき主宰者である。




    追記

    劇中、数年前に上演された『エトランゼ』と重なる脚本というか演出があった。脚本家の頭の中には、「こういう状況を表すにはこんな演技が必要」というパターン化された思考があるのかもしれない。その点が残念であった。


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    2018/06/04 20:42

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