満足度★★★★
開演前に読んだ当日パンフでの作・演出家さんの言葉、これが私にはすこぶる効果的でした。
前後にも文章があるのを前提に一部抜粋すると
・ドラマ部分をダンスに託しました。
・伏線を回収しませんでした。
・色々な説明をしませんでした。
・登場人物の変化にあまり関係のないキャラクターがいます。
一言でいうと「分かりづらい作品ですよ」的な事が書かれているのです。
そうなると、こちらも「よし、わかった!分かりづらいわけね、オッケー」とそれなりに観る体制が整ってくるものです。
ただひとつ気になるのは、観客の中にはそう演劇慣れしている風でもない、ご年配の方々も多数おられて、そんな難解な作品に対して不満が出てこないかという事でした。
そして公演がスタート。
んっ?全然分かりにくくなどありません。
むしろコメディー色が前面に出たアットホーム感が漂っています。
東京から帰ってきた娘はどこか気難しい所があるものの、島の家族や仲間達が創りだす空間は和やかで笑いも起こります。
ただ観進んでいくうちに段々違和感が生じてきました。
どうやら謎は随所に挟まれるダンスシーンにあった様です。
観終わった後には工夫が張り巡らされた演出にちょっと感動してしまいました。
あのダンスにはそういう意味があったのか~等ポロポロ気付きが浮き上がってきて面白いのです。
その気付きの数々が全て演出家さんの意図するものと一致しているのかは確かめませんでしたが、うんそれでOK。
イマジネーションを強く刺激する画期的な作品だったと思います。
前の当日パンフの言葉が自分にとって効果的だったのは、法律的な解釈や登場人物のバックグラウンドといった細かい事に対して逐一追求しようとは思わず、ただひたすら本流の物語に没頭できた点にあります。
気になっていた年配のお客さん達も満足気な笑い声をたてながら「あそこはこういう事だったのねー」と終演後の談義に花を咲かせていたのが印象的でした。
2018/06/02 02:29
2018/05/31 23:48
こちらこそありがとうございました!
前説と併せてホントに見事な前振りでした(笑)
物語を普通にストレートプレイで表現するよりも、おそらく何倍もの面白さと驚愕をもたらす演出方法には、演劇の自由さと奥深さ、何よりその発想力に感動してしまいます。
表現の自由度が高そうなムツキカっ!!さんの作品は、確かに一作品を観ただけでどんな劇団さんか解ったとは言い難いですね。
「悪巧み」という言い方がぴったりな作品を今後も期待しています。
今回はありがとうございました。