ヒュプノス 公演情報 Oi-SCALE「ヒュプノス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    一見、現実世界のように観えているが、ラストは唐突に非現実の世界へ転換するようだ。日常と幻想、現実と夢の境界線を彷徨するような感覚にさせられる。全編は薄暗いモノトーンで包まれ、閉鎖的な状況下を思わせる。しかし、虚実綯い交ぜの世界観のわりには客観的である。
    (上演時間1時間15分) 【Aバージョン】

    ネタバレBOX

    舞台は素舞台。天井に電球の列があり、シーンに応じて光量を変化させる。先にも記したが全編薄暗くモノトーン、登場人物の衣装もダーク色のマントのようなものを着ているため、照明効果が物語の雰囲気を作り出す。

    梗概…物語はプロローグのシーンであることを表すため「ヒュプノス」(文字)のcaptionを映し出す。暗転後、物語は多くの人物が寝転んでいる間を、1人の女性が「ヒュプノス」について説明(朗読)しながら歩き回るところから始まる。
    そして物語の背景であるターリアについては、現実の世界の出来事のように進行する。

    寒気が進み氷河期へ…その環境変化の中で人々は赤道に近い国へ脱出したが、移住出来なかった者達は寒さから逃げるため地下へ居住を求めた。数年後「ターリア」と呼ばれる奇病が流行り出し「ターリア」に感染した者は睡眠時間が長くなりやがて一日のほとんどの時間を深い睡眠状態で過ごす。そして1日一時間程度しか目を覚ますことが出来なくなり、いずれ眠ったまま息を引き取る。嗜眠症状が現れた若者は隔離され…。

    「眠り」という奇病が持つイメージは、夢を連想させボンヤリとした実態が掴めないもの。具体的なイメージを持たせない暈けたような半睡、夢物語は観客に考えさせる、または想像させるという作業を求めているようだ。
    多彩色の照明が駆使される芝居が多い中で、白・黒の濃淡という強調で織り成す公演は特異な印象である。一方、物語はターリアに感染した若者の虚無・諦念や、やり切れない思いを抱えつつ「生」と「死」を醒めた目で見つめるような。面白い試みの芝居だと思う。しかし特にラスト、妄想が分かる表現が在り来たりに感じられたのが残念だった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2018/05/25 17:20

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