満足度★★★★★
4面舞台で行われる舞台構造での天体観測の物語。
恐らく基本は時計回りにぐるぐる回る。
俳優陣の苦労は相当だと思われる。
長屋のおばちゃん達、懐徳堂の変人達、木津屋の人々、そしてそこに放り込まれる主人公の麻田剛立。
その空気の差が非常に面白く、作品にメリハリを与えている。
最後の天体観測のシーンでは自然と客席から上を見上げてしまう。
そして、月食を舞台全体で表現する美しさと、完璧に音響にハマる計算された作り。
非常に洗練されていて、地味な物語をエンターテイメントに変えている。
これを何事もなくやってのけるのには脱帽である。
一つ気になった点は、最後にお雪さんが出家するまでの流れがちょっと唐突。
淡い男女の恋の行方、二人の想い、もう少しそこを丁寧に描けたような気もする。
とはいえ、全体としては素晴らしい舞台。
天体とか詳しくないので不安だったが、とても面白かった。