GK最強リーグ戦2018 公演情報 演劇制作体V-NET「GK最強リーグ戦2018」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    観客参加型の演劇イベント「GK最強リーグ戦2018」、今年のテーマは「銀行」である。
    観劇したのはAチーム「頭取サバイバルバンク」(演劇制作体V-NET)、Cチーム「ひゃく年たったらまたあおう」(演劇企画ハッピー圏外)の2チームで、それぞれの作品は異なるイメージで観応えのあるもの。
    Aチームは今の金融政策を意識した手堅い内容、一方、Cチームは時代を100年ほど前に遡行させたファンタジー作品で、何となく硬軟対決といった感じである。
    これにBチーム「ギンノコウザ」(ラビット番長)が加わり三つ巴で競うことになるが…。

    (上演時間2時間 休憩時間10分含む) 2018.5.21追記

    ネタバレBOX

    2公演とも基本的には数段の段差を設けたシンプルなセット。「ひゃく年たったらまたあおう」は、それに時代遡行機をイメージさせる小道具をいくつか使用するのみ。

    「頭取サバイバルバンク」は、最近の金融政策(金融庁方針)を意識した内容になっていると思う。具体的には、従来の銀行融資の有無は企業の業績によって判断しており、今のような将来性、事業継続性などは考慮されることが少なかった。本公演では従来の営業スタイルに固執した銀行の態勢改善を問う内容になっている。その意味では現実に即した手堅い公演になっている。
    しかし株式取得を競わせ、その結果によって頭取就任という構図は短絡的。また競わせるのが支店長クラスではあまり現実的ではないし、副頭取以外の役員の動向も見えてこない。現実と虚構が綯い交ぜになったビジネスドラマといった印象である。

    「ひゃく年たったらまたあおう」は、当日パンフによれば、明治時代…西郷隆盛が陣頭に立ち西南戦争をしていた頃の日本銀行の官僚と彼らに巻き込まれた人たちの話だという。明治期から100年後の日本銀行の金融政策を見たいため”時代遡行機”を作らせるという夢のような話。もちろんSFの父G・ウェルズも名も出てくる。そして西南戦争に絡め、戦費調達のための紙幣増発行は金融・経済に多大な影響を及ぼす。これは現在の金融構造にも当てはまること。
    もっとも、日本銀行が現在のような組織体制になったのは西南戦争後、数年経ってのことであり辻褄が合わない(当初は国立銀行条例に基づくもの)。全体的に緩い笑いの中、現実離れした空想(ファンタジー)世界といった印象である。

    どちらの公演も「銀行」のある側面を捉えた内容で興味深い。Aチームは現在の日本銀行の金融方針を正面から捉え、某地方銀行の経営改革へ結び付ける。Cチームは戦費(適切な比較が難しいが、現代では防衛費か?)増大が国家予算を圧迫し国民生活に深刻な影響を及ぼす懸念、それゆえ日本銀行の在るべき姿を観たいと…。

    さて、先に記した夫々の公演の辻褄合わせのようなことについて、大局に立てば卑小なこと。それよりも共通した「テーマ」設定、持ち時間の規制の中で競わせ切磋琢磨した取り組みは、より良質な作品作りに有益だと思う。今後も継続した取り組みをお願いしたい。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/05/19 16:25

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