俺の屍を越えていけ 公演情報 feblaboプロデュース「俺の屍を越えていけ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    会社の方針に躍らされる若手社員、その結果リストラされる管理職。内容は会社の非情や厳しさを思わされるが、観せ方は緩い笑いも交え飽きさせることがない。その演出は実に上手い。
    (上演時間1時間15分)

    ネタバレBOX

    舞台を囲み四方向から観るような客席。舞台設定は青森市に本社がある老舗放送(ラジオ)局。セットはその局の一室、ロ字型に横長テーブルが置かれ会場入り口近くにコーヒーメーカーがあるだけのシンプルな作り。

    梗概…経営難のラジオ局立て直しのため新社長が断行しているのがリストラ。現在、部長職以上の職位(高給取り)の人をリストラする。その人選は入社5年以内の若手社員6名に密命を与え行わせる。この話し合いの前日、同僚が1人辞め送別会が行われていた。後々これが伏線になり、ラストへも繋げるという巧みな構成である。
    集められたのは、制作・報道・技術・放送・営業の各部署からであり、話し合いでは部署間の利害関係はあまり観えてこない。むしろ同期入社の男性社員2人の立場が、会議進行の肝になっている。1人は制作ディレクターで会議の進行役、もう1人は営業部 しかも労働組合執行部(青年部長)で雇用確保も含めた労働条件の向上に尽くす役割を担っている。立場の違いにより組織内の役回りや構図が垣間見えてくる。登場人物に役割や役回りの違いを担わせ、そして幹部社員(非組合員)をリストラ対象に設定するあたりは上手い。リストラを若手社員に行わせるという、現実の社会への皮肉とも思えるような手法も面白い。労働組合を前面した台詞は少なく、単純にリストラ=労使対立という観せ方にしていない。

    社員は、仕事に対する日頃の不満、人間関係の悩み等についてリストラ案件に絡めならが心情を話し出す。入社時の希望配属先とは異なるところで遣り甲斐を見出そうと足掻いている。会社という組織への不平不満を抱えつつも業務を行う。それを長年勤めてきた幹部社員、その人達をリストラしようとしているが、その方法が無記名投票という多数決。誰もリストラしたい者を名指しして後味の悪いことはしたくないのは人情だろう。

    物語(リストラ)は、ある決着に辿り着く。前日退職した社員は別グループでの幹部社員のリストラ会議のメンバーだった。そのグループでは幹部社員の代わりに若手社員が辞めて人件費削減の帳尻を合わせたようだ。会社の方針は人件費削減、まず複数の幹部社員をリストラする、それが若手社員で実行出来なくても当事者に責任を取らせる。悪習の骨絡みになるような…。直接リストラの原因になったか否か判然としないが、セクハラや放送技術(スキル)が時代遅れという尤もらしい説明が…。

    会話劇であるから、特に照明や音響効果による観せ方はないが、それが逆に自然な緊張感ある雰囲気を漂わせていた。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/05/14 17:10

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