塵、舞う 公演情報 早稲田大学舞台美術研究会「塵、舞う」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     起承転結、起の部分でアコースティックギターが小道具として用いられているのに、音響がエレキのサウンドを被せてきたので、何だこれは! と思ったのだが承の辺りから、うん!?、 ひょっとして!! と思い始めたら、キタキタキタ!! (華4つ☆)

    ネタバレBOX

    イキナリ日本海溝に引きずり込まれるような深い疑義が湧いたのだ。アサハラの名に対してである。伏線として起の部分から鳴っていたどこかインド風の音曲が、実はアサハラの企画した世界壊滅戦争の武器だったのである。彼はしょっぱな、シンジの所へ転がり込んだヤサグレJKアスカが、そのような生活を送るようになった理由をある意味共有していた。アスカは、中2の時、兄が少女をレイプしたとしてパクられて以来、犯罪者の妹という理由で散々苛めを受けたばかりか、母は事件後ショックが因で死亡、父も発狂してしまい、家を飛び出していたのである。誰が彼女を非難できようか? 誰一人、彼女の窮状を助けなかった我々であれば。
     一方アサハラは、口がまともに利けないのを理由にツマハジキにされ地獄を生きていたのであった。アスカはアンパンだけが慰めであり、遂には死を求めて集団自殺を図る所まで追い詰められていた。アサハラも死の淵に居た。そして2人はSNSを通じて自殺決行の場所へ向かい、知り合ったのであった。
     然し、地球に500万年前に飛来し以降ヒトの進歩に関わってきた神の力によってアサハラの言語能力は回復、そのほかに与えられた不思議な音楽を醸し出す能力によって楽曲と踊りによるコミューンを創り、世俗と離れて暮らしていた彼らの生活は象徴化された森友の籠池氏と安倍 昭恵が登場してくることによって取り上げられてしまう。彼らのコミューンのあった土地が力によって奪い去られてしまったのである。再び、ツマハジキ者とされたアサハラは復讐を誓う。
     以前少し書いたが、麻原はその眼を水俣病との関連で患ったという話を聞いたことがあったことに結びつき、而も彼が下腹部を常に弄っていることは、既に精神が崩壊しており、失禁が常態化していると囁かれる麻原の現状を示唆しているのではないか!? とも感じたからである。更にその後のシーンには、森友問題も出てくるので、この件で囁かれている或るタブーともオーバーラップしながら日本の暗部と其処で働いている力とにはじき飛ばされ、社会の埒外に置かれたアサハラらが俯瞰した世界もまた利用され、消費されてゆくであろうこともまた明らかである。
     今作は、このような不条理に対する異議申し立てであろう。若い人達の抗議の叫びが聞こえてくるような作品である。
    (*いうまでも無いことだが、ここで描かれていることはフィクションである)

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    2018/05/05 12:08

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