Starting Over 公演情報 “STRAYDOG”「Starting Over」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    タイトル「Starting Over」…若者の希望と不安はある出会いによって明確になり、力強く人生を歩き始める、そんな応援歌のような公演である。
    逃避したい気持を変える転機となる出来事をコメディタッチで観(魅)せる。
    (上演時間1時間30分) 【Aチーム】

    ネタバレBOX

    舞台セットは、山梨県の大月にあるアパートの一室。和室6畳、中央に小さい丸卓袱台。正面に押入れと天袋が見える。上手側が出入り口、奥に通じる廊下。下手側は窓・カーテン、そして別スペース(ベランダ風)が設えている。

    梗概…この部屋を借りようと不動産屋と一緒に来た若者・大田茂樹が、敷金・礼金が払えず何とかならないか交渉するところから物語は始まる。茂樹には霊感があるらしく、この部屋にいる霊を感じることが出来る。そこで地縛霊(イメージ的には自縛霊)・(生前名)小菅陽二の存在を不動産屋に示すことが出来れば金銭面の配慮をしてもらえることになった。そこで巻き起こるドタバタ騒動が、いつの間にか茂樹の部屋を借りることになった理由、霊・陽二のこの世での未練が浮き彫りになる展開へ変わる。この部屋には陽気な地縛霊が何体かいるが、そのキャラクターが時代、性別等に関係なくユニークである。

    茂樹は恋人から結婚を意識していることを聞き、何者でもない自分が本当に相手を幸せに出来るのか。その迷いと自信のなさが見知らぬ街(自分を知る人がいない場所)での暮らし。自己逃避のような行動であるが、いつの間にか弟や友人、さらには恋人まで訪れる始末。
    一方、陽二は生前に付き合っていた彼女が、まだ自分のことを想っているのでは…彼女には自分を忘れて新しい人生を歩んでほしいと願う。その気持を伝えるため、茂樹に彼女をこの部屋に連れてきてほしいと頼む。
    生身の人間と空身の霊、それぞれの思いを遂げるために起こすヒューマンコメディ。もう少し物語に深みがあると好かった。

    総じて若い役者が一生懸命演じている、その熱量は十分伝わる。しかし感情表現が演じるというよりも役者自身が前面に出ていたように観えたのが残念だ。
    物語にある人間の弱さ優しさが滲み出るところは現実。一方、時代を超越した女霊、戦時中の兵霊、自傷する女霊などは仮想現実空間であり仮想人格を構築している。その異なる世界を交差し成長する様へ変わっていく。そんな心情が観えると好かったが…。
    明るく前向きな姿に励まされる。巣立つ若者が多いであろうこの時期にピッタリの公演である。

    次回公演も楽しみにしております。

    0

    2018/05/01 21:12

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大