渇生 公演情報 HIGHcolors「渇生」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/04/27 (金) 19:00

    座席1階2列

    「渇生」ですね。よい造語だと思います。
    父親は生まれてくる娘のために、急ぐ車で2歳の子供を轢いてしまいます。
    彼はその贖罪に一生を捧げようとします。その娘は24歳になっていますが、数年前に愛する夫を交通事故によって奪われます。
    加害者である父と、被害者である娘。その重層が舞台全体に重い空気を漂わせます。

    舞台の区切り方が絶妙ですね。
    阿久津さんの部屋はやはり、阿久津さんの立位置としては必要ですし、センターを区切る道路はとても有効に使われていました。

    阿久津さんと柊家の養子が、同じところで交通整理員をしている冒頭から、人間世界の因縁を感じさせます。

    案外、柊さんの息子の直樹さんが、よいアクセントになっていました。
    自分がいるじゃないか、いつまでも亡くなった実の息子に思いを馳せる母親に対していら立ちもあったでしょうに。それだからこそ、母親を受け入れたいという想い。
    ラスト近く、阿久津さん夫婦と、柊さん夫婦の会話の中で、居場所のないように立ち続ける彼は、その因縁の結末を観たことで救われたのかなあ。

    ネタバレBOX

    柊さんが阿久津さんの頭にビールをかけて、その後、自身の頭にもビールをかけるシーンは印象的ですね。2人の悲しみを洗い流すような、よい演出でした。男親同士の気持ちをうまく交感させていました。ビールを買いに行かせる場面、まさかビール飲みながら話をしようというわけでもないだろうし、そんな演出だったら嫌だなあ、と思いつつでしたから、とてもよい意味で裏切られたな、と思いました。
    息子の直樹さんも、そうした予想をしたでしょうに、それでも素直に買ってくるところに彼の親への実直さと一途な性格を見せましたよね。
    柊さんも、息子の気持ちを一旦落ち着かせようという意図も読み取れます。

    ラストの父と娘の邂逅は、あの道なしには成立しませんね。

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    2018/05/01 14:44

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