~ラビット番長ノワール短編集~ 公演情報 ラビット番長「~ラビット番長ノワール短編集~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    蠢き合う人間模様、行き場を失った濃密な思いが煮詰められたような強烈な印象を残す。それは悪意と不器用な感情等が息つく間もなく襲ってくるような感じである。
    2話とも共通する台詞は「花言葉」。そこに込められた一言が物語を象徴する巧みさ。
    この公演、作・演出の井保三兎氏によれば「いつものラビット番長とは違う公演を」という要望に応えるため、ノワール公演に挑戦したと…。モラルの内に収まるか否かで「シロ」「クロ」を区別させるのだろうか…。
    (上演時間2時間 途中休憩10分含む) 【夜明けの歌/パンジーな乙女達】

    ネタバレBOX

    「夜明けの歌」(60分)
    舞台セットは、駅舎という設定。中央に白いバラ(純潔・誠実という花言葉)が咲いている花壇。いつしか赤いバラを咲かせたいと願っている。

    戦時中、都会からこの村へ赴任してきた教師の杉田夫妻、慣れない夫妻を何かと面倒を見る北川。その杉田と北川が出征し戻ってきたのは北川だけ。杉田の妻・瑞江(南井貴子サン)は生きていくため、いつしか村長と男女の仲という噂が…。その事で子供は苛められ、成人すると家を出てしまう。戦中・戦後という時代、村(地域)という環境、そんな社会性を背景に人間の欲望が蠢く愛憎劇。村という閉鎖性や悪風評の流布という怖さが見える。

    ノワールに相応しい展開と同時に、それを観せる演出・舞台技術が素晴らしい。モノクロームな雰囲気、さらに白・黒の衣装(喪服をイメージ)が不安・不穏を醸し出す。時々聞こえる汽車の音、同時に車輪が回るような影(照明)が時の経過を示すようだ。衝撃的なラスト、真実が明らかになった時に咲いたバラは鮮血に染まり…その花言葉は「あなたを愛しています」。

    「パンジーな乙女達」(50分)
    舞台セットは、先の「夜明けの歌」の花壇が室内のソファーに変わった。設定はラジオの生放送とある作家の家に集まった見知らぬ女性たちの疑心暗鬼な会話、の二元同時進行。ラジオのDJは作家の妻/・是澤(山本綾サン)で、集まっている女性たちは作家の日替わりの恋人のようだが…妻は夫に恋人がいることは知っていて黙認している。今夜の放送が妻にとって最後、ラジオ局ADから送別としてパンジーの花が贈られる。ラジオ放送という限られた時間、一方室内という限定空間で交わされる会話が濃密に聞こえる。

    作家は女性たちから小説ネタを聞くために会っており、真に浮気をしている訳ではない。妻は夫が書く小説にはいつも自分が存在しているとが認識できる。しかし近著では自分が確認出来なくなった。その寂寥感のようなもの、夫婦の信頼関係が裏切られ、妻という存在が蔑ろにされた悔しさ、寂しさが漂う心理劇。

    基本的に女性しか登場せず、一見明るく華やいだ雰囲気である。それを暖色照明を諧調し、音楽は心中を表すような歌詞が流れ、ラジオ番組と連動させる演出は上手い。ちなみに妻・是澤は殆ど後ろ向き。ディレクター、ADと向かい合うという座り方でも良かったのではないか。
    パンジーの花言葉「私を思って下さい」…ラスト、妻は自分が行った行動を番組を通じて告白する。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2018/04/30 11:44

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  • えざき様
    コメントありがとうございます。
    今回のノワール短編集、いつものラビット番長の公演と違いましたが楽しめました。
    次回公演はどんな内容なのか…期待しております。

    2018/05/01 17:06

    タッキー様
    ノワール短編集にご来場いただきありがとうございます!
    感想ありがとうございます!
    細かな部分まで観ていただけて本当に嬉しいです!
    これからも黒ラビットそしていつもの白ラビットな作品どちらも楽しんでいただけるように頑張ります(^^)

    2018/04/30 22:26

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