タバコの害について/たばこのがいについて 公演情報 劇団夢現舎「タバコの害について/たばこのがいについて」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    会場ではアントン・パヴロヴィッチ・チェーホフの名にちなんで「行灯パブろびっち」を開店。
    受付でドリンクを注文し、小さなおつまみと共に頂きながら開演を待つ。
    休憩をはさんで30分のオリジナル作品と60分の「タバコの害について」の二本立て構成。
    “キャリアウーマンの妻と生活力のない偏食男”の攻防が始まる。

    ネタバレBOX

    2016年の公演ではチェーホフの人物像を楽しく見せてくれた後、本編となった。
    今回はまず夫妻の日頃のやり取りが再現される。
    客席近くに舟形の白い物体、「パブろびっち」の行灯がいくつか吊るされている。

    好き嫌いの多いチェーホフと、健康のために野菜を摂らせようとする妻の闘い。
    人参・ブロッコリー・ピーマン・ゴボウ、それにキノコが大嫌いなチェーホフに
    妻は毎日それらの入ったメニューを出し続ける。
    そして次第に若かりし頃のチェーホフと現在の情けない有様を比較して嘆く。
    白いバスタブで飼っているピラニアの野生を、夫はとうに喪っている。
    そして学校を経営するやり手の妻に命じられて“社会に有益な講演”をすることになった彼は
    「タバコの害について」と題して語り始めるのだが・・・。

    30年間の結婚生活を嘆く“結婚ぶっちゃけ話”に終始する講演、
    これに説得力を持たせる前半の“夫婦の日常”という構成が面白い。
    悪妻VS大作家、に見えるが、30年も一緒にいて7人の娘がいるという現実に
    “それなりに幸せな男のぼやき”ともとれる。

    久しぶりに観る益田さんは以前よりさらに緩急自在、
    この誇張された初老の男の嘆きを余裕をもって演じているように見える。
    金にならない作品を書き続けていられるのはこの妻のおかげ、
    野菜を食べなさいと口うるさい妻の言い分ももっともなことで、
    子どもの喧嘩みたいな夫婦のやり取りも愛情の裏返しと見ることが出来る。

    講演会場に怖ろし気な妻の人形を持ち込んだのには笑った。
    逃げ出したいんです、何もかも放り出して逃げ出したいんです・・・というのは
    夫に限らず、妻も密かに夢見る普遍的な野生の夢ということか。

    妻役の三輪さん、ろびっち店主の高橋さん、何だかとても洗練された印象。
    久しぶりの夢現舎はおもてなしも行き届いていて、
    この世界観はやっぱり特別な劇団だ。

    0

    2018/04/24 03:07

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大