観ながら聴きながら頭をフル回転させてオーディエンス側が
各々のイメージを想起し膨らませてゆくことを強く求められる戯曲。
惹きつけられる場面もありスマートな演出だが、意気込みが
盆に乗って空回りして一本調子になっている感は否めず、
次々と解き放たれ押し寄せるコトバ(特に、「私たち」のセリフ)の波に
対してイメージが追いついていかないところもあり、観慣れていないと
2時間強の上演時間の間しばしば襲ってくる睡魔と格闘せざるを得なくなる
スタイルの、でも、言葉に鋭敏な役者さんなどは気に入りそうな作品
(より深く鑑賞するにはリピート観劇が必要なタイプの作品。
現在芸劇ウエストで公演中の『Photo.51』も、劇構造や
戯曲のたち上げ方など同様の印象あり、フィーリングや感覚的に
ではなくきちんと鑑賞するためには最低限高校レベルの化学、生物学の
知識をもって臨むことが大前提となっている点を別にしても)。
盆が終始廻る仕掛けは同じで面白いが、視点が逆転する豊洲の劇場で
上演中の作品群とは対極に位置する作品。