Were Born / ワー・ボーン 公演情報 舞台芸術集団 地下空港「Were Born / ワー・ボーン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     前回に続く移動型公演である。演者達が、何時何処でどのような動き、発話をしているかに応じて、観客は積極的に動くべし。荷物は預かって貰えるが、持ち物は少ない方が良かろう。(華4つ☆)追記2018.4.17

    ネタバレBOX

    観客自身が、好奇心と探究心そしてイマジネーションを持って作品に接することに加えて、論理的に自分の頭で考えながらキチンと判断しなければ、余りヴィヴィッドに関われないタイプの作品だと考えられるからである。積極的に関われば、作品構造がハッキリ見えるし決して難しい作品ではない。
     何しろ、一時の寺山作品のように同時に様々な場所で別々のことが行われたりするので、観客が動き回りながら、何をどのように観るかを的確に判断しながら観ないと全体像のイマージュを掴むことも難しくなる可能性があるからである。何、構造が見えてしまえば、後は観客個々人の知性・イマジネーション等の問題で可也深読みができる理知的な作品である。
     タイトルが示していることのみならず、war born、和盆、和本等このタイトルの音が示す様々な概念・イマージュが喚起する内容が包みこまれた作品である。多様な解釈が可能であるが、自分は現代日本の現実を映しているように解釈した。
     契機は、それぞ:れの役者が演じている役割を見ることだろう。皇帝というか支配者と目される人物が居る。官僚が居る。治安維持を担う軍人或いは警察官が居る。弱者が居る。浮動層はダンサーによって表されている。
      次にこれら各々が何を表象しているのかを考えてみるのだ。支配者は、プロパガンダをし、それによって大衆をマッスの次元で操縦しようとするがプロパガンダは魔物である。情報操作が時に為政者の目論見を超えて暴走すると、為政者が大衆に担がれ破滅の責任者として総括されることにもなる。
     官僚は、為政者の意図を汲み、忖度して大衆管理に携わるが、その方法は、彼らの目論見や単に気紛れによって方向づけられるから、大衆にとっては単なる不条理でしかないが、機構がこの隔絶を絶対化してしまうので、大衆の反抗は役に立たない。本質的な革命のみが、この機構そのものを変質させる可能性を持つ。
     治安維持を担う連中は、知的に一段劣るから、唯上の言う事を、実行に移す暴力装置として機能する。
     浮動層は、以上の三階層の欺瞞を見抜き、自分の力の限界も知っているから、揺蕩いつつ、力から巧みに身を逸らしている。
     残る弱者たちは、最も無防備なまま、暴力の犠牲になる。彼らは願う事しかできない。そして唯一の武器は記憶することだ。
     これらの社会的要素が総て役者達の演技によって同時多発的にあちこちで行われているのが、今作である。2階部分には、洗髪用のタンクを備えた理髪店用のシンクで、水責めの拷問が行われるシーンもあるが、これは更に大きな1階部分で同時に進行している別の様々な演技からは隠されている。無論、これは、ロシアなどがシリア政権軍に加担したことを責めるアメリカがラッカ攻撃に関しては西側に報道させなかった一般市民の犠牲者被害と同等の性質を持つものであり、アメリカがイラクやアフガニスタン、キューバのグエンタナモで散々やった拷問が殆ど報道されなかったこと、イラク戦争については、インベッド取材でアメリカ軍にとって極めて有利な報道しかできないように企まれた手法の発明、これらに深く関与し軍事オブザーバーとして指導したイスラエルの暗躍を見えなくさせていることとも同等である。
     その上で構造的に捉えるなら、先ず我々の生きている世界がどのようであるか? を考えてみる必要があろう。そこには様々な層が堆積している。我々が日々食わされている物は、果たして本当に安全か? 空気は? 水は? 土は? インフラや社会システムは? 信じていることは? という生きる条件に直接、密接にかかわっている事・もの等は、リアルな局面に於いてホントに確かか? 
     エネルギーは完全に足りているにも関わらず、原発再稼働に走る自民党を中心とした政権とそれに追随するしか能の無いアホダラ官僚、マスゴミ、フェイクニュースを捏造し続けることによって事実を隠蔽し、地球生命を危機に陥れる命の敵共、森友、加計、自衛隊、自民党政府、東電、アメリカの植民地政策に見るような隠蔽、虚偽、無責任、切り捨て、弾圧、頬っかむり等々を貫く為にこそ、諸々のプロパガンダが用いられ、そのプロパガンダに踊らされ、フェイクをファクトと勘違いさせられていないと言い切れるか? 寧ろ、我々の日常は、既にバーチャルとフェイクで覆われ尽くしているのではないか? 仮にそうであるとしたら、どうやって我らはバーチャルやフェイクから自由になれるか? ということをこそ次に考えなければならない。
     今作は、このような生活環境に意図的でないかも知れない人々に、状況を提示して見せる試みであろう。この姿勢を高く評価したい。

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    2018/04/15 11:56

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  •  取り合えず、余りネタバレにならない所まで。追記はのちほど。
                             ハンダラ 拝

    2018/04/15 12:34

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