満足度★★★★★
硬調演出ながら抒情的な印象の公演。
紛争で死んだ息子の遺体を捜す父と母_息子の声に導かれ土地の瓦礫の下で重なり合う死者たちの無念が…。そして夫婦を取り巻く奇妙な隣人や泣き女、街灯に佇む1人の娼婦という、不可視と可視を対比するような姿や情景を観客の心象に刻むかのような物語である。
特に不可視の象徴である息子や各時代における無念の死者たちを描く時空間、その不思議なところに父・母を存在させ、地中から響く過去からの<挫折を余儀なくされた希望>に寄り添うような心の幻影を精緻な眼差しと言葉で追いかけていく。もっともタイトル副題からすれば「その言葉はひどく嘘っぽく響いていた」のかもしれない。
(上演時間2時間)