高校演劇マルシェ 公演情報 高校演劇マルシェ高校演劇マルシェ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     桃谷高校文芸部ドラマ班による「この高校4年生はフィクションです。」と盛岡市立高校演劇部の「絶対恋愛王政」の2本を約115分で上演。どちらの劇団も遠方からの参加で実際の高校生が演じているので、上演日程が2日間しかないのが勿体ない。素晴らしい出来であった。(花5つ☆)追記第1回2018.4.6 02:03 追記2回目(終)2018.4.9

    ネタバレBOX

     桃谷と言えばかつて猪飼野と呼ばれた地域である。大阪環状線の鶴橋に近い。開高 健の「日本三文オペラ」の舞台になった場所であり、小松 左京の「日本アパッチ族」が活躍した場所でもあるばかりでなく、梁 石日や金 時鐘を輩出した場所でもある。
     歴史的には、4.3事件を逃れた済州島民が、当時済州島からの直行船便で大阪に到着し住み着いたという経緯があるので住民には済州島出身者が多い。日本最大の朝鮮民族集落である。4.3事件で亡くなった方の正確な人数は、分かっていない。(2011年当時)何となれば米韓連携軍による大虐殺は、一家皆殺しというケースも多数にのぼり、確認しようと努力する係累も絶えたり離散の果てに分からなくなったケースもあるからである。何れにせよその惨殺被害者は4万人以上と考えられている。こんな地獄から逃れてきた人々の多くがパスポートも無い状態で日本に逃れてきたことについては人道的保護があって当然のことだが、現実には、不法滞在という廉で地元警察からは散々苛められたようである。而も朝鮮半島が分断されたことの歴史的背景をみれば、日本の責任は重大だと言わねばならないにも関わらずだ。この辺りに日本人の傾向が端的に表れているように思う。都合の悪いことには、しっかりシカトである。こんなことだからいつまでも周辺諸国と真の友好が結べないのだ。安倍 晋三の悪をキチンと批判できない者達がこんなにも多いのも、実は自分達自身が、恥ずべき存在であると「自覚」はしているからであろう。
     閑話休題、自分は単に差別を糾弾することで正義感を満足させたいのではない。差別の多くは、被差別に対して無自覚であることから生じる。つまり被差別経験が無い者は、差別に対して鈍感極まる存在なのである。
     一方人間は、己が己であることを自覚する為だけにさえ、他者を必要とする存在である。そして、己を極めるということに目を向けず、唯成長の過程で己の生育環境から抜け出す努力も怠って自分と似たような者達だけと付き合って、それを自然と看做して一切の土台をここにお根拠を置いてノンベンダラリと過ごすことができた者達が、差別者となり、望んでも、己の状況を変えられない者の多くが被差別者となる。
     而も被差別者の状況が、露骨な差別だけに現れるとは限らない。寧ろ空気として、或いは生きている状況そのものの地獄化にあるのだとしたら、その差別は単に被差別在日外国人だけの問題ではなく、被差別者全体が抱える問題としての普遍性を持つに至るであろう。今作の描く所は正しくこのような地点、地平である。
     だからこそ、今作には、他高校から演劇に参加するメンバーが登場するのであり、互いに地獄の住人であることが即座に了解されるのみならず、一緒に表現活動に携わることが可能になるのだ。
    「絶対恋愛王政」
     聖絢爛学園高校は文科省からスーパーハイソサエティハイスクールに指定された名門校、リア充だけが成功者と看做され、そうで無い者は下層のレッテルを貼られて浮き上がる術もない状況に落とし込められ、生徒会執行部の独裁に喘いでいた。然し生徒会長を始めとして執行部の面々は実力者ぞろい。彼女らの高い能力と魅力に勝てぬ面々は服従せざるを得ぬ屈辱を耐える他に術を持たなかった。
     然し、この学校のアニメ研究会が全国アニメクイズ選手権大会で優勝。オタ高としての評判を得、勇名を馳せることとなった。
     一方、生徒会執行部は、スーパーハイソサエティハイスクールを“オタ高”と呼ばれることに屈辱を感じていた。全国優勝したことは立派な業績であるが、それがもとで“オタ高”と呼ばれることは肯んじなかったのである。結果、アニメ研究会は活動停止勧告を受ける。だが、アニメ研究会にはアニメ研究会としての独自のプライドがある。全国大会優勝という実績もありそれは当然のことであろう。而も各サークルのうちでも文化系サークルのメンバーは自由をその根本的価値と考える者が多い。表現する者としての必然である。その自由に表現することを禁止され、部室に立て籠もったとして部室を奪われたばかりか彼らの宝物である資料、フィギア、レア物、超レア物、人気キャラクター直筆サイン入りグッズなども没収の憂き目に遭わされた。アニ研部長も中々にしっかりしたキャラクターと主張の持ち主であった為、生徒会と決定的に対峙することとなった。
     互いの論戦が見事である。而もラストには、生徒会長とキャプテンが、互いの高い認識を認め合い、恋に芽生えネット上で拡散していた非難合戦を終息させる方向に持ってゆく。
     ここには、オーダーを決めたら、論理の唯一の展開である尖鋭化を免れる道が呈示されている。この点をも高く評価すべきであろう。

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    2018/04/01 14:16

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  •  2作とも素晴らしいできでしたね。是非、また東京で上演してください。期待しています。ハンダラ 拝

    2018/04/09 16:58

     とりあえず、第1回目の追記です。
               ハンダラ

    2018/04/06 02:16

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