満足度★★★
鑑賞日2018/03/01 (木)
第二次世界大戦真っ最中のロンドン、若者が戦地へ赴き、句集におびえる毎日・・・とあるシェイクスピア劇場では年老いた座長がわずかな劇団員をやりくりして、毎晩幕を開けていた。
しかし、年老いた彼はそんな毎日にすっかり神経をやられていた。そんな座長を支えるドレッサー(付き人)のノーマンだが、その日も「リア王」の舞台裏で、何とか座長を舞台に上げようと孤軍奮闘をしていた。
老役者は舞台裏ではすっかり自信をなくし、ドレッサーの上手いあしらいで何とか舞台に上がる・・舞台上では立派に台詞を言い、演技するがまた舞台裏に戻ると・・・・また。
客席からは彼の舞台を舞台裏から観ていると言うことで、実際もこんな風に舞台から下がったら、素の顔に戻ったり、次の出番を控えてたりするんだなぁ・・・と面白いです。
カトケンさんの声にシィエクスピアの台詞が似合います。
ゆったりとした動き、トップを極めた人の傲慢さがあるんですが、愛さずにはいられないオーラを持っていました。
彼に仕えるドレッサーの加納幸和さんが、テンポ良く、カトケンさんをあしらっていくのがとても愉快でした。
でも、彼の遺書にはドレッサーの名前が無かったのです。
わざと書かなかったのか、書き忘れたのか。
ドレッサーは老役者にとっては、楽屋にあって当然の者で、自分を絶対裏切らない者で、妻よりも自分に近い者だったはずなのに・・私に考えてもわかりません。ドレッサーもとてもショックを受けました。言葉がいらないほどの、近い、近い存在だったのかもしれないと思いました。それでも、可哀想でした。彼の生活のよりどころでもあったし、きっと心の支えでもあったでしょうし、彼の取り乱す様子に胸が痛みました。
足の悪いが老役者が認めている役者が石橋徹郎さんでした。
最近、個性的な役が多かったので、普通にかっこよくて安心?
二人のやり取りに笑いながらもせつなくて、カトケンさんはこういうの上手いなぁ。
芝居の世界にどっぷりと漬かって楽しみました。
ありがとうございました。