第10回公演『オールド・フランケンシュタイン』 公演情報 唐沢俊一ユニット「第10回公演『オールド・フランケンシュタイン』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    突拍子もなくハチャメチャな物語かと思ったが、しっかり収束させてくるホラーコメディは面白い。冒頭に何気なく流れてくる音声(馴染みの「指令」のテープ音)を聞き逃すと、その面白さは伝わり難いが…。
    (上演時間1時間30分)【オールド・フランケンシュタイン】

    ネタバレBOX

    舞台は基本的に素舞台。板には変形曲線(池のような)縁取りをした部分があるが、それは背景になる地中海にあるフランケンシュタイン島をイメージさせるものであろうか。劇場出入り口の対角上に森林を描いた紗幕がある。

    物語は島の領主・フランケンシュタイン男爵が亡くなり、その遺産相続を巡る身内や島民の思惑、同時に男爵が研究していた成果物を奪う、その交錯した展開を面白可笑しく観せる。島での暮らし(経済的)は恵まれているらしいが、島外に出ることが許されず、ある種の閉塞状態を強いられる。唯一、10年前に孫娘が島外へ出たことが例外であるが…。祖父・男爵の葬儀のため帰島してくるが、その容姿は相当変わったらしい。遺産は弁護士事務所で管理しており、遺言書を持って来ると言う。
    遺産や研究成果を巡る話に絡んで、島民または孫娘も巻き込んだ恋愛騒動が起きる。島内の人々は少し変わっている、そんな人物紹介の仕方である。例えば、宿屋の女将は盗みの常習、同じ台詞の掛け声を発する男、そして色情狂者。どこか人間的な欠陥があるような、この描きが男爵の研究と繋がってくる展開は巧み。

    アドリブなのか演出なのか判然としないが、いたる所で笑いの小ネタを仕込む。例えばストリート・ダンス、ものまね、ショートコントなどである。この小ネタが頻繁に物語の合間に入ってくるが、その挿入意図は分からないが楽しめた。

    さて、物語は研究成果を狙って某国が暗躍(冒頭のテープ「スパイ大作戦」が伏線)し、島にスパイを送り込む?。それが以外な人物。スパイの登場に伴って島民全員が男爵の造った人造人間であることが明らかになる。男爵は不完全さを解消する、欠陥を直(治)すための実験を行っていた。公演ではフランケンシュタイン=人造人間=不完全と分かり易く描いているが、そもそも完全な人間などいない、という当たり前で難(かた)い話をコメディとして楽しませる。
    孫娘が人造人間であっても成長(容姿の変化)したり、そもそも男爵は独身であったというオチがあることから理屈で観ても…。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2018/03/16 15:48

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