渇愛 公演情報 名取事務所「渇愛」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/03/13 (火) 19:00

    座席1階G列1番

    名取事務所は、題材、脚本、演出、役者その他内容云々ではなく、とにかく観ようという劇団なので、今回も何の予備知識なく劇場に向かう。(せいぜい、知識は韓国の脚本だというくらいです)
    上演時間を見ると、85分。案外短いな、という感想。

    舞台が始まると、数分のペースでやたら暗転で舞台装置が変わり場面が変わる、車のブレーキ音のような甲高い雑音が発せられ、フラッシュバックのような照明が点けられる。次第にそれらの場面が、観客の意識の中で繋がっていき、ことの顛末を憶測するころには、舞台の展開も落ち着く。が、終始薄暗い舞台は、観客に沈鬱な気分を強いたままだ。血糊のついたシャツ、連綿と続く暴力、息子と少女の静謐な死の儀式。

    実際の事件をモデルにした、という文言を読むと、確かにそちらに意識が流れていきがちだけれど、舞台と並行している時間枠では、狂気の隙間に嵌り行く人々を見ていると、消耗が激しくてそんなことに頓着する余裕さえない。

    特に、養子ジンギがジェソプに対して何度も「本当に悪いのはあなただ!」と叫ぶ場面は、その真意がつかめぬ間に、ただただ不快だ。

    観劇者を選ぶ舞台。

    ネタバレBOX

    真実は何なのか、養子ジンギはなぜジェソプの家庭に入ったのか、彼はそもそも何者だったのか、彼の家庭環境は本当だったのか、ジェソプの妻の神がかりとは何だったのか、妊娠時に出た発疹や時折起こる発作の原因は?彼女はなぜどのように自殺したのか、息子は自殺相手の少女とはどこでであったのか、そしてジェソプが最後にジンギに放った罠は成功したのか、etcの謎は、最後まで解かれることはない。

    そして何よりも一番知りたかった、養子ジンギがジェソプに対して何度も「本当に悪いのはあなただ!」と言った真意は、なのも語られずじまいだ。

    後味凄く悪いのだけれど、役者の舞台挨拶のないところ含めて、鵺的や鬼の居ぬ間に連なる文脈にある。終演後、私としては首の周りの汗を拭う不快感がむしろ心地よくさえ感じたのはなぜだろう。



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    2018/03/14 12:21

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