The Entertainer ~新しき旗~ 公演情報 img「The Entertainer ~新しき旗~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     時は西暦2030年頃、イカマサ博士の発明したタイムマシンで未来へ飛んだ幸音の見たもの。それは変わり果てた東京の姿だった。(志の高さを認めよう)(追記2018.3.4 02:49)

    ネタバレBOX

    丁度彼女と博士が時間旅行に旅立った日、東京には核弾頭を搭載したミサイルが落ち首都は大被害を蒙った。結果、日本経済は崩壊の憂き目を見た。これを受けて、昭和敗戦の時と同様、宗主国面した大国が、この植民地経営に噛んで来た。無論、彼らはこの「国」と「国民」のことは良く知っているから敗戦直後同様天皇を立て、これも敗戦時同様、駐日大使が中心となって植民地高官と話をつけ、復興の為との名目で贅沢とも言える芸能などのあらゆるエンターテインメントを禁止する法を成立させ、検閲によって弾圧した。
     だが、民衆の心は抑えきれない。隠れて表現行為を行う者達が出現、中でも演人と名乗る劇団は、ゲリラ的に出没しては芝居を演じ、規制当局が出向くと逃げる、という形で公演を打ち続けていた。幸音の辿り着いたのは、この劇団の隠れ家であった。だが、彼女は、大好きだった祖父の死に目にエンターテイナーとしての仕事に関わって居た為会うことができず、エンターテインメントは人を救うことが出来ないのではないか!? との疑念に苛まれ表現すること自体の意味を見失いかけた。
     然し、エンターテインメントが禁止されたことに抗い、命を賭けて戦い抜く演人メンバーやリンダを中心としたダンス&ミュージックメンバー達に、その意味する所を教えられ彼らと行動を共にすることとなる。偶々現天皇の唯一の子が女性であった為、立太子として遇されていたカナコと歌うことを通じて仲良くなっていた幸音達の前に、法を改悪した弾圧サイドの魔手が延びてきていた。隠れ場所を漏らしたメンバーが居たのだ。皆を助けたいとの意からではあったというが、そんなことは言い訳になる訳がない。(これは若書きの甘さとしておこう)他にはタイムパラドクスの処理が拙いことが挙げられる。
     志の高さは評価するが、上に挙げたようなことをキチンと処理することも、今後演劇界で生きてゆく為には必要である。
     一方、表現することを全うしようとする行為は、自由を要求する行為と読み替えることも可能だろう。こう読み替えてみれば、今作は、どんどん為政者側だけに有利な法や状況が創られてゆく現実の日本に対する真っ当な異議申し立てでもあるということが出来よう。

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    2018/03/03 10:52

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