search and destroy 公演情報 うんなま「search and destroy 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    公演の内容は、”結論”めいたものがあるような、もしくは観えるようであるが、実際は終わらない創作過程の思索面を描いている、そんな印象を受けた。深い理屈の世界、観客の思考を強く刺激するもので、その表現はコミカルなショートコントを織り込む手法で飽きさせない工夫をしているが…。
    それでも自分は、もっと気軽に観て楽しめる公演が好みである。もちろん喜劇であり悲劇であっても何らかの”モノ”が自分に残れば満足である。その意味で、本公演は自分には合わなかった。
    (上演時間1時間20分)2018.2.23追記

    ネタバレBOX

    少し段差のある舞台に三面の衝立。正面と右手側には1文字ないし2文字が書かれた張り紙。左側の壁はハートマークが並ぶ。上部には短い垂れ幕がある。
    基本は、張り紙に書かれている文字(題材)に基づいて物語を構成しているのだろうが、それで何を伝えたいのか、何を見せたかったのか理解が難しかった。自分(観客)の勝手な思い込みで好・嫌の趣向が分かれるようで、主宰の思いがどこにあったのか。

    当日パンフには、大阪での評価はオルタナティブ(「言い換えれば「ようわからん」)ということらしい。自分の感情にピッタリの表現である。繋がりがあるとは思えないようなショートストーリーで構成された公演は、斬新なのか無謀なのか…。ハイ、観客の皆さんどうぞ考えて下さいと。

    早い段階で、合唱の練習風景のシーンで、見学者が合唱指揮者へ批判的な表現。それに同調した合唱団員による指揮者解任(辞任か)のような。それからは自分たちのやり方で進めていく。体制的ではない、自主独立的な行動を思わせるようなシーンがある。この公演で感じることは、ショートストーリーに込めようとしている内容が、何か比喩・暗喩のような、恣意的なものを感じる。
    しかし、例えば素直に音楽的なシーンとして捉えれば、指揮者はオーケストラや吹奏楽・合唱等で、各パートの演奏をまとめる役割を担っている。表現全体を考えて音程・音量・音色・奏法や歌唱法・パートの音量バランス・テンポ等を指導し、ミスやずれを修正して、演奏の完成度を上げるもの。確かに指揮者が不在のケースもあるが…。

    公演全体の印象が、「言葉」に拘った遊びのようで、各ショートストーリーに深みや共感を感じることが出来なかった。逆に理屈・理論の中に取り込もうとする恣意的な思惑が垣間見えたのが残念であった。”何か”を追求する野心的な作品のような…それを”張り紙”という視覚的表現をもって観客と物語の繋がりを持たせようとしている。
    さて、チラシにある「共有」について、現代は通信技術の発達に伴って瞬時に世界的スケールで情報の「画一化」を招くが、一方、個人の表現の領域を拡大し「”多様化」ももたらす矛盾したような効果も現れる。そんなところに劇団の特徴である「現代性と演劇的猥雑さの両立」という作風を感じることが出来た。

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    2018/02/20 19:10

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