ノスタルギヤ 公演情報 Ammo「ノスタルギヤ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2018/02/12 (月)

    12日マチネ(135分)を拝見。

    ネタバレBOX

    元・サッカー日本代表監督、イビチャ・オシムさんの母国としても有名な、ボスニア・ヘルツェゴビナ。
    旧・ユーゴスラビアの崩壊後、地域に根を張る、セルビア人・クロアチア人・ボシュニャク人(ムスリム人)の3つの民族の間で次第に対立が深まり、1990年代、三つ巴の激しい内戦が始まります(当時、新聞で読んで知ってはいましたが、自分にとっては、「遠い・よその国の出来事」でした)。

    それまでは民族の違いを(意識はしつつも)越え、地元のサッカークラブ・選手たちを応援していた田舎町ビリヤシュの人々が、内戦の勃発をきっかけに、或る者は故郷を捨て、残った者はやがて互いに憎しみ合うようになる…本作品は、戦乱の中、人生を翻弄されていく者達の悲劇を、サッカーライターの日本人・酒井と、外国のチームに移籍したシーナ・アクシシャヤとの、いわば「内戦の部外者」二人の回想を通して、描いた作品です。
    日本のあちこちの街でも目にする、酒場で歓声をあげ・肩を組み合って、応援しているチームの勝利を喜んでいたサポーター達の「その後」は、上演中、終始、息苦しくなるほどに、ただただ哀しくて哀しくて…。

    ラストシーン。酒井・シーナ・(消息不明の)イリヤの3人でのパス回しから、やがて出演者全員が舞台に上がり、唄い・叫び・つぶやく地元チーム・FKビリヤシュのチャント(=応援歌、いや、鎮魂歌か)の渦に、微かにでも未来への希望を見出せたのは救いでした。

    最後に、自分の記録用として配役を記しておきます。

    <セルビア人>
    イリア(将来を嘱望されたサッカー選手。現在は消息知れず)…津田修平さん
    ソニア(イリアの姉。生まれ育ったビリヤシュへの熱い想いが、後の悲劇を…)…宍戸香那恵さん(今回、この役柄に一番、感情移入させられました)
    スロボダン(地元サッカークラブ・FKビリヤシュのコーチ)…坂井宏充さん
    ルナ(FKビリヤシュのサポーター達が集うピッツェリアで働く。大学でセルビア民族主義に感化される)…木原実優さん
    カタリナ(ソニア・イリアを初め、慕う者の多い、FKビリヤシュの古参サポーター)…滝澤多江さん
    デヤン(大工、FKビリヤシュのサポーター)…海田眞佑さん

    <ムスリム人(ボシュニャク人)>
    シーナ(来日中のスター選手。FKビリヤシュでの、イリアのかっての同僚)…荒川ユリエルさん
    エディン(元軍人。前の戦争で、戦死したカタリナの息子に助けられた)…浅倉洋介さん
    ダミール(FKビリヤシュのコールリーダー。内戦中、セルビア人兵士に殺害される)…ワンデー櫟原さん
    ヤスミラ(ダミールの妻。夫を殺害されてからはセルビア人を敵視するも、イリア・ソニアの姉弟には…)…加順遥さん
    ファティマ(デザイナーに憧れる女。後にミラノに移住)…土佐まりなさん

    <クロアチア人>
    ハナ(ピッツェリアのウェイトレス。シーナのガールフレンド)…広野未奈さん
    アレン(民族主義者の青年)…山崎丸光さん

    <少数民族・ロマ人>
    エスマ(ピッツェリアの女主人、シプシーの出身)…前園あかりさん

    <日本人>
    酒井(サッカーライター。ビリヤシュを数回訪問。自分を温かく迎えてくれた人々の身を案ずる)…谷仲恵輔さん

    0

    2018/02/14 07:07

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大