サクラと私と不透明な昨日までのこと 公演情報 劇団 Sakura Farm「サクラと私と不透明な昨日までのこと」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    2018.1.21 19時 互恵会館
     パフェ(学習院女子大舞台芸術部)は4年生の卒業公演を1か月後に控えていた。脚本(仮)も上がり本格的な稽古が始まろうとしていたが、授業にも遅刻ばかりしていたり、欠席を繰り返していたサリーは、年の離れたバイト先の店長と熱愛中、大学も止めると言い出した。当然、最後の公演となる卒業公演にも出ないと言う。(追記2018.1.27)

    ネタバレBOX

    このことで部長・中井との仲が狂い始めている。2人の間に立った者の思いややりきれなさからくるストレス、そして対立する2人の思いを軸に、若い女性たちの淡く柔らかい感性や互いを思いやる優しさに思いあぐねたサリーは、彼を皆に実際に観て貰い彼女自身の気持ちを分かって欲しいとの思いから話し合いの場に連れてくる。だが、彼女の意に反して外部世界の象徴としてグイグイ割り込んでくるサリーの彼・店長の強引なまでの現実感との狭間で悩み、引き裂かれそうになる部員たち。然し乍らも尚、部員同士互いに向き合おうとする柔軟な存在の仕方を余韻として残しながら、中井の気持ちを察し、彼女をそっとしておこうと退出した皆の後、カナダに留学していた為に卒業が1年遅れた先輩が実に優しく自然に部長を慰めるフォローの仕方や、後輩部員の仲違いをしないで欲しいとの真摯な訴えとして纏めると共に、年中家族旅行をしては、お土産を持ってきてくれるメンバー、公演迄2週間という絶妙な時点で、サリーの抜けた穴を埋めるように入ってきた新入部員で新たな展望を予感させつつ、メタレベルでは、サリーの相手は結婚詐偽師であることが判明、サリーも部活復帰となって、新入部員は制作を担当とすることになるオチ迄が一連の流れ。
     出演する役名と本名がダブっている点も見逃せまい。何故ならここに描かれていることは、ドキュメンタリーではないが、パフェに属する、或いは属した彼女たちの掛け替えのない日々だからである。
     而も作中何度も出てきた、ミサイルへの危機感が戦争勃発を懸念する女子大生たちの時代への懼れであることが確実な中で、ラストにはけたたましいサイレンの音が入る。これをミサイルが落ちて鳴らされたサイレンと取ることも、或いは卒業公演迄2週間という時点で決定稿が上がり卒業してゆく4年生たちを送る記号としてのサイレンと取れる所もグー。
     但し注意しておかなければならないことは、戦争で決着をつけようとすれば、互いの疑心暗鬼は、軍拡競争を生み、戦争が始まればその結果は増々その悲惨の度合いを増すということである。まして日本はアメリカの植民地であるから、アメリカの言うなりに動かされている。その結果、アメリカを守る為の最前衛を担わされているのである。日本の軍隊は日本人を守る為に機能していない。このことを肝に銘じておくべきではあろう。

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    2018/01/22 11:48

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