満足度★★★★
以前一度くらい名を聞いた程度で、異例の初観劇。独自色がありそうで身構えてると、意外に普通、というか真っ当に稽古して頑張って芝居やってる感のある、それもコメディ。劇団俳優は三名も?居て、ナグリ持って建て込みもやってそうな。
ただし劇団的な一体感はさほどなく、プロデュース公演(仲良し系?)の乗り。特徴と言えばオーバーアクション気味な演技を繰り出す劇団役者、「それほどイケてないけど本人ヤリたがってるんだから」と周囲を看過させるキャラを持ち、映像畑でも拾ってもらえそう、的なあたり。役者顔見世興行とは言わないが、確信犯的ご都合主義なコメディ。
・・要はよくある若者のドタバタ芝居のカテゴリーで、吐かれる台詞の中身は殆どなし(作者自身も切に訴えたい言葉は殆どないだろう。目的は役者を輝かせる事なのだから)、だが演劇公演の舞台裏の話でもあり、リアルな感覚はベースにあり、それが細部で説得力を発揮している。主役のベテラン女優のデフォルメされた「大物」ぶりも、(通常ならあり得ない)失敗続きの舞台を一人背負って「行くわよ!」とマネージャーに言い置いて舞台へと去る「感動」の後姿の演出も、笑ってしまう代物だが、一本辛うじて線が残っているのは、役者たちの本気度。とりわけ、真面目な役だがズッコケを「やらされてる」感を残しつつラストまで持ち越せた女優二名が、恐らくは芝居の「感動」部門の下支えになっており、男優はその上で優雅に遊んでいる(それはそれで重要な役割だが)という構図ではなかったろうか。
記憶は朧ろだが「独自色」は、あった。処置に困る奇妙な「間」。笑いへのチャレンジングな姿勢はウェルカム、願わくはウェルメイドでない破壊的な笑いを。