ヴェニスの商人 公演情報 ハラプロジェクト「ヴェニスの商人」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    見事な異文化混合の空気の妙… 西欧古典の雄 シェークスピア戯曲をベースに、レトロロック(?)、オペラ、幻想的ないで立ちの行列、ぽろっと出てくる大岡裁き、壁を埋め尽くす「慾」と「無」の文字 … カオスでありながら不思議に調和する異世界感でした。

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    ネタバレBOX

    (続き)
    そんな中、金銀鉛の箱選びで、ふっと入ってきた…とある婿候補者のシーン。現代のノリで現実的に核心の箱を見抜き…ポーシャに異能で阻まれるコミカルな顛末が好きなところで、これもまたこの作品の懐の深さでしたね。ちょっとメタ的趣向でもあり、楽しかった。

    そして、やはり核心は…金貸しシャイロックの…オリジナリティある末路。

    「原作」でのシャイロックの処遇は、キリスト教視点のご都合的な顛末で、シャイロックの強欲を責めながらも、結局は力づくで…キリスト教価値観の元にシャイロックを捻じ伏せる。
    表向きは「あくまで知略」の雰囲気にしてあるが、事実上、権力を笠に着た強権発動に他ならない。あまつさえ、そもそもが言い掛かりの死刑を、キリスト教徒の慈悲で免じてあげている恩着せがましさ。

    そんな原作の欺瞞を振り払うかの様なラストシーン。
    シャイロックが…ヴェニス公に持たせたナイフで自らを刺させて事切れる結末は「結局はお前らも、自分の価値観で他人を捻じ伏せているに過ぎない」と…欺瞞に満ちた慈悲を拒絶する…一世一代の見得切りだ。喜劇から一転しての悲劇の様相はインパクト大でした。

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    2018/01/06 20:35

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