penalty killing 公演情報 風琴工房「penalty killing」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    アクション演劇を想像していました。いや、実際に颯爽たる偉丈夫たちが舞台にひしめき、アイスホッケーアクションを見せてくれますが、それは芝居後半…シーズン最終戦が始まるまで大胆にもお預けです。
    しかし、そこに至るまでに延々と連ねる…氷上以外で見せる選手達の「激しい対話」が非常に濃密。
    これこそが本作の核心に他ならない。

    以降はネタバレboxへ

    ネタバレBOX

    (続く)
    プレーの技術論、精神論の壮絶な衝突。いや、精神論では…何か無理難題を精神だけで何とかしようとする暴論に聞こえるかな。鍛えられた肉体があり、スケーティングやスティック操作の物理的な技術があり、…その上でそれを支え、礎となる「精神」の在り方、心構えの技術論…と言うべきか。
    猛烈なスピードと肉体の激突に耐える、氷上の格闘技と呼ばれるスポーツならではの深刻さと説得力。
    DFトラのメンタルの話が一番グッと来た。苦悩し涙する役者の顔が印象的。

    会話劇と評してもいいんじゃないかと思うぐらい、詰め込まれた監督・選手たちが交わす一連の言葉たちは、各々が一つの独立した話の山場…名シーンに匹敵する重みと盛り上がりがあり、…全体としては、一本の芝居というよりは長期連載・連続ドラマの総集編の趣きがありました。

    試合への切替りのダンスは、本来は一つの見せ場なんだと思うのだけど、私としては、そこでやっと「ふぅ~」って息をつけた…ぐらいの、それまでの濃密な会話群でした。
    試合が始まると、そこからは…各選手のそれまでの積み重ねの総括として、それまでの苦悩と想いをプレーに表す形式となり、これがまた全選手分あるというのが、選手への愛を感じる構成でした。

    若干、難を感じたのは、この試合が終盤まで0-3で負けてて、…それを一気にひっくり返す展開になること。

    もちろん、その契機となる采配(試合中で異例のセット変更)あっての展開なんだけど、あまりに短時間でアッサリ追いついたかに見えたので…折角のここぞという場面なのに…かえって安っぽさを感じてしまった。…ゲームは点を交互に取る方が盛り上がる気がするし、その度ごとに采配の妙があった方が面白いのに…と、その場では思った。

    ただ、0-3からの追い上げは…実話をモデルにしている節があり、アイスホッケーファンには堪えられない展開なんだろう…と後で納得。作意を楽しみ尽くすには、受け手も相応の背景知識が必要なんだねぇ…と改めて思ったよ。

    何気ないところに、実はホッケーファンなら唸る細工が、もっとあったかもね。

    そういう意味では、特有の基礎知識を、前説でしっかり与えてくれる構成は重要だった。

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    2018/01/06 00:05

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