満足度★★★★
「希望」の「安っぽさ」を引き受けることで、生まれる「希望」もある
野田さんの芝居って、ほとんどの観客が役者の表情を見ることができない大劇場でやっているわけで、
有名人を出す必要はないのでは、とも思ってしまうのですが、
肉声を響かせることで、テレビで見るのとは違った存在感を放つのも、芸能人の凄さ。
生き残る芸能人には、ビジュアルだけではない「何か」があると、改めて教えられます。
SFとの名目ながら、現実との地続き感が強いお話。
自分の国が「自滅に向かっている」と、多くの人が薄々感じている日本という国において、
「希望」を描くことの安っぽさは、野田さん自身がよく分かっていると思いますが、
その「安っぽさ」を引き受けることから、始まることもある。
あえてメッセージを読み取りやすいお芝居を作る、懐の深さに感服します。