「標〜shirube〜」 公演情報 劇団桟敷童子「「標〜shirube〜」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    17日、知人・もりちえの所属する劇団桟敷童子の公演『標』を観てきた。最近、数人の団員が退団したのを受けて新しいメンバーに加え、演劇集団円から数名の出演も得て、新生桟敷童子の本格的始動開始第1回公演とも言うべきもの。

    舞台は戦争末期から終戦後にかけての寂れた港町。生け贄を捧げると現れるという蜃気楼に死んだ夫などとの再開を夢見る女性7人が、脱走兵で生け贄になるのを承諾した男3人をいざ生け贄にしようとすると、蜃気楼を生むために必要な海風が止まってしまい困惑する一同。そこに脱走兵をを護送していた上官(実は彼も脱走兵)や生け贄行事を止めさせたい港町の人々が加わり、蜃気楼を巡って鬩ぎ合う。やがて、蜃気楼で夫が帰ってきたという女性や、上等兵の拳銃で撃たれて命を落とす女性も出てきて、7人の女性は1人となり生け贄行事も立ち消えに。蜃気楼を呼ぶ神への「ホ~ホ~ホ~。ホッダラホイヨ~」という呪文が耳に残り、最後に舞台全体に広がる紅の風車が目に焼き付く、笑いも起こるが悲しい物語。

    見終わって思ったのが、この舞台の発想が、過去の上演作『風撃ち』を主軸に『海猫街』をスパイスとして加えたような印象であったこと。「生け贄」「最後には1人になって待つ女性」というテーマが、作者である東憲司の頭に染みついているようだ。

    役者としては、主演ワタリを務めた演劇集団円の朴璐美の演技が秀逸。また、元教師で女7人衆の1人リュウを演じた板垣桃子の演技も良い。男性陣では脱走兵4人が時にはコミカル時には悲しい演技で魅せた。その他の役者達も、手堅い演技でさすが桟敷童子という思い。全18公演ほぼ完売という力はさすがであろう。次回作『翼の卵』も期待したい。

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    2017/12/24 01:28

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