桃の夢散る花月夜 公演情報 法政大学Ⅰ部演劇研究会「桃の夢散る花月夜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

     舞台は中国崑崙、戦乱の絶えない世の常として難民化した子供たちが、各々の技能を持ちより旅芸人として暮らしていたが、或る公演を観に来ていた女性から、声を掛けられる。

    ネタバレBOX

    屋敷へ来て、演じてくれないか? との頼みであった。彼らの演じていたのは、胡弓弾きのタオが幼い頃母から聞いた神話やお伽噺をベースにし、脚本化した作品であった。
     神話は、どんな国の神話でも為政者の道具である。つまり、為政者が支配する民衆に対し、支配権を正当化する為に拵えた道具である。ホメーロスが描く英雄たちもギリシャの神々の血を受け継いでいる訳だし、ギリシャ神話を受け継いだローマも無論これに倣った。王権神授説なども、この伝だ。日本でも天皇の先祖は神ということになっている。
     無論、神等存在しない。神を作り出したのは、ほかならぬ人間である。少し話が逸れた。既に決まった公演もあったので直ぐという訳にはゆかぬが、契約は成立、使いの女性が迎えに来ることになり出掛けた屋敷は、大層立派なものであった。貴人の館だったのである。而もこの館の庭には桃の木が植わっており、この木の実を食べると寿命が千年延びるという貴重なもので、神食とされていた。館の主や東ノ宮、西ノ宮、儀式を受ける資格を持つ年齢に達した後継者らも食すことができた。
     西ノ宮継承者、トオヤと仲良くなったのは仲間の一人、そして東ノ宮の姫ユエと仲良くなったタオだったが、西ノ宮家に主を取られてはならぬ、と画策する勢力がトオヤの命を狙っていた。トウヤは暗殺され、実行犯として処刑されてしまう。然し、これは周到に仕組まれた罠であり、真犯人は、もう一人の仲間、からくり人形等を作るのが得意な男であった。而も、彼は東ノ宮側の傍仕えの女官であり、彼女がこの計画を立て実行させた黒幕に通じていたのである。新たに立てられた主は、東ノ宮の姫の実弟、かつてこの地から密かに外の世界へ送り出したトオヤであった。丁度、元服の時期に達していたトオヤは母から件の桃の儀式を授けられ新たな主として祭り上げられることになる。陰謀によって新たな神話が構築された訳だ。
     権力者が、嘘によって作り上げられる様を見事に描いた作品。脚本の良さもさること乍ら、演出、演技も舞台美術・衣装も良く、効果も適切である。

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    2017/12/19 03:06

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