満足度★★★★
初演の映像を見る限りでは、この芝居の題材であるイラク戦争の翌年(2004年)、割とホットな時期に書かれ上演されたことによる「タイムリー性」の躍動が、狭い空間である事もあって舞台に横溢していた(客席と床続きの舞台で「デモ」との地続き感も出ていた)。同時に風景の切り取り方のユニークさ、台詞のユーモアにある一定の普遍性を思うところがあったが、大きな改稿が無かった今回の再演舞台でその事が確認できた。
一方、変わった部分も当然ある。若いキャストは、癖のあるキャラの立った初演のキャストよりは淡白で、初々しく、瑞々しさと物足りなさと両面がある。会場が立派なKAAT大スタジオであるのも、大きな違いだ。初演の狭いスペースに比べ臨場感が大きく遠のき、「作品」としての形が追求された感じがどうしても付きまとう。台詞とリンクしない奇態な動きも初演ほど出ていない。にもかかわらず面白く観られたのは、テキストの強さと、若者たちの「突出」と「自然さ」のうまいバランスにあったのだろうと思う。