池田屋裏2炎上 公演情報 グワィニャオン「池田屋裏2炎上」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    新選組の名を世間に知らしめた有名事件。多くの公演は池田屋への襲撃を描いているが、本公演はその裏手にある店で新選組と薩摩藩士の人間的な遣り取りを中心に観せる。同時に京都の庶民が武士の騒動に巻き込まれていく慌てふためきをコミカルに描いた秀作。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    この劇団の特長はセットの工夫と活用であろう。それだけ観る者の心をワクワクさせ楽しませると同時驚かされる。上演前は上手側に斜めに配置した座敷、それを物語が始まると奥へ移動させ池田屋の裏にある店に変へる。奥には池田屋の2階部屋があり、繋がっているわけではないが、人が屋根越しに飛び越えてくるという観せ方である。下手側奥には土蔵のような作りがある。

    物語は、新選組の池田屋事件に巻き込まれる裏の家の騒動を描いた「番外池田屋・裏」。明治時代になってからであろうか、女性記者が事件当時の状況を取材しているという手法。
    池田屋の裏手にある家では何も知らず祭り気分に酔いしれていた。障子向こうの池田屋から聞こえてくる騒々しい物音に、ただならぬ空気を感じ障子を開けると、目の前では池田屋事件の真っ最中であった。突如飛び込んできた壮絶な光景に慌てふためく裏の家の住人達。逃げ惑う志士達は、今度は裏の家へと駆け込んで来た。それを追って新撰組も乱入する。騒然となる住人達の前で、裏の家へと場所を移した両雄の死闘が始まる。そして話は池田屋事件の裏側で遂行しようと別の計画が…それは新選組に捕らわれた同士古高俊太郎の奪還と、新選組屯所焼き討ち計画である。
    新選組も薩摩藩士にしても武士として描いているが、その時代に生きているのは武士階級だけではない。無関係と思われる庶民を登場させることによって時代の混乱と人の非情を垣間見せる。

    新選組、それも池田屋事件であるから当然殺陣シーンはある。しかし本格的な殺陣とは違い、どちらかと言えばムーブメントのようだ。池田屋は京都特有の寝床座敷であり、切り込みの際、天井が低いから大上段からの斬り込みは難しいという台詞。斬り合い前の睨み合いシーンが多い。殺陣の動きは連写した写真のようで、ワンシーン毎に印象的である。

    役者の演技力は確かで、それぞれのキャラクターがしっかり見える。新選組という殺人集団としての雰囲気よりも、人間味に溢れた人物集団像を立ち上げたようだ。近藤勇(主宰・作・演出:西村太佑サン)の少しとぼけた隊長の人柄か、他の役者も人間らしさを醸し出している。また山南敬助(自分が観た回:山口勝平サン)の何とか穏やかに話し合いで解決したい。しかし新選組としての意地、そんな譲れない硬質さも観(魅)せる。
    観せ方にも、独特の間とコミカルな動きがあり、心地良いテンポが時間を忘れさせる。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2017/12/17 13:44

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